現世クン美奈SSログ


『Matching Love(クン美奈)』


陽射しの強い夏のある日。待ち合わせ場所に行くと彼がサングラスをしていてギョッとした。
黒い肌に、真っ黒い四角いサングラス。他人の振りをしたいレベルで怪しいし強面で拒否反応。

「美奈子!」

声をかけるかどうしようか。考えていると気付いた公斗に声をかけられる。後には引けなくなった。
意をけして公斗に近づき、質問をする。

「サングラスなんて珍しいわね。どうしたの?」
「ああ、これは衛とお揃いだ」

聞くんじゃなかったと後悔さっきのサングラスよ!
まもちゃんとオソロですって?
何で?どうして?どうなってそうなった?
どんだけまもちゃんLoveなの?

「オソロですって?何で?」
「衛と同じものが欲しかったから誕生日にプレゼントしてもらったんだ」

盲点だった。

「だからって何でサングラスなのよ?」
「似合うだろ?」
「そーゆー問題じゃ、なーーーーーい!」
「何をそんなに怒っている?」

この男、本気で分からんのか?
んとに乙女心と言う奴が分からんヤツめ!

「私ともまだオソロのもの身につけたことないのにぃ!」

悔しくて絶叫!泣きそうになる。
ハンカチを前歯で噛んで悔しがりたいレベルに腹が立つ。

「ああ、何だ。それで機嫌悪くなっていたのか……」

やっと合点がいったようだ。鈍感男。
心の中で悪態をつきながらチラッと横目で公斗を見ると、何やら自分の左のピアスを外している。
次に私の左のピアスも外して来た。
そして、自分の左のピアスを私の耳に、私のピアスを公斗の耳に入れる。
嘘、これって……

「これでお揃いだな」

満足そうに微笑む公斗。
悔しいけれど、何か嬉しい。
けど……

「これがポタラだったらフュージョンして合体してたわよ!」
「は?」
「何でもないわよ!あ、ありが……とう」

公斗に言葉の意味が通じないことは千も承知だから別にいい。
例えポタラでフュージョンしても、大好きな彼とずっと一つになって独り占め出来るならいっか♡なんて公斗から不意に貰ったピアスを触りながら心の中で喜び踊っていた。



20230807




おわり


20230809から20231210までのスキお礼SS

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