現世クン美奈SSログ


★11月7日いい女の日


『変わらぬ想い』

「お前は良い女だな」
「何よ、急に!槍でも降ってくんの?」
「それを言うなら雨だ。にしても失礼な奴だな。せっかく褒めてやってるのに」
普段憎まれ口を叩く減らず口な美奈子。
しかし、公斗は真面目だけが取り柄で、何かと言えば仕事、もしくは衛優先で美奈子は二の次。
そんななんの面白味も無い自分に何だかんだ一緒にいてくれる美奈子に感謝していた。
「普段貶してばっかだからでしょ?」
「そうだったか?褒めていたと思うが?」
「ボケ老人なの?アレで褒めてたつもり?」
「誰がボケ老人だ。まぁ衛ファーストでも文句無く着いてきてくれるからな、感謝してる」
「その事?それは私の方こそよ。うさぎファーストだからお互い様♪楽でいいのよ」
「これからも変わらずこのスタイルだな、俺たちは」
「ええ、それありきの関係でしょ?」
「まぁな」
もう一度お互いの大切な事を確認し、公斗は有意義な時間を過ごせたと満足した。
やはり美奈子しかいないと再確認が出来た。
「アンタも、いい男だと思ってるわ!」
「槍でも降ってくるのか?」
「殴られたいの?」
美奈子もまた、こんな自分に着いてきてくれる公斗を有難く思っていた。
真逆な性格で、共通点と言えば主従に忠実なリーダーと言う事くらいで。前世からその真面目な所に惹かれていた。顔もタイプだ。
「腹筋もこんなに鍛えてさ。何気にシックスパックなのよね~」
そう言いながらペチペチとお腹を叩く。
「まぁいつ何があってもいい様に鍛えておくのは当然の事だ」
何でもない当たり前のように言い放つ。
「やっぱりくそ真面目ね……」
この男は一生こんな感じで変わらないだろうと美奈子は半ば呆れていた。
「それの何が悪い?」
「悪かないわよ。アンタはそんな感じを貫けばいいわ」
「お前も何気に鍛えてるだろ?お互い様だ」
「体を動かしてなきゃ落ち着かないのよ。じっとしてるなんてイライラしちゃうもの」
「まぁそういう事にしといてやろう」
「でもさぁ、色黒で体も筋肉隆々って、一体どこ目指してるの?ボディビルダー?」
「敢えて言うなら衛の専属SPだな」
結局は衛一筋な公斗に呆れる美奈子だった。


おわり




★11月16日いい色の日

『イタズラ(クン美奈)』

大学の後期の試験を受けている時、回答を間違えてしまった為筆箱の中の消しゴムを探していると入れた覚えのない紙切れが入っていた。
ゴミクズが入ってしまったのかと怪訝に思い取り出すとカラーのボールペンで書かれたであろう見慣れた字で綺麗なカラーとは反した言葉が書き殴られていることに気づきため息が出た。

「勉強ばっかして全然構ってくれないからつまんない!あんま放っておくと愛の天罰落とすわよ?By愛の女神の美奈子」

美奈子の幼稚なイタズラだ。
ご丁寧にも彼女のイメージカラーのボールペンで書いて主張させてきている。
綺麗な字からも伝わってくる殺気と絶対許さないと言うオーラに、アイツもついに念能力を習得出来るようになったのかと恐れ入る。

試験はどうなったかって?
こんな事で動じる俺では無いから楽勝だったから心配はいらん。
その後は美奈子に大人のイタズラを返してやるという余裕も見せてやった。

★11月17日いいインナーの日

『ヒートテック(クン美奈)』

「はい、プレゼント!」

クンツァイトは誕生日でもなんでもないのに突然美奈子から渡されたプレゼントを見て固まった。

「どういう風の吹き回しだ?」

普段何も無いのにプレゼントの送り合いはしない上にケチで定評のある美奈子からのプレゼントに動揺し、何か後ろめたい事や裏があるのではないかと思い予防線を張る。

「何よ、やましい事や裏なんて無いから普通に貰いなさいよ!」

ちょっとキレ気味に渡し付けてくる。
素直に受け取り中を開けるとインナー類で更に固まる。何だこれは?

「ヒートテックか?何でだ?」
「あんたって悪の組織にいた時の軍服、前はだけてたじゃない?北極圏Dポイントってクソ寒い所にアジト構えてたじゃない?見る度寒そうだなと思って」
「今は北極圏なんぞには住んどらんぞ!」
「分かってるわよ!でも今から寒い冬が来るんだから有って損は無いはずよ?寧ろ暖かいから重宝するわよ!有難く貰っときなさいよ」

そう言われ、まぁそれもそうだと思い有難く貰っておくことにした。

「ありがとう」
「どういたしまして」

健康に気を使ってくれる優しい彼女に素直に嬉しくなる。この冬は風邪引かなくて済みそうだ。

だがこのヒートテックが後に飛んでもない悲劇をもたらす事になるなんて2人は知る由もなかった。




おわり

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