高校教師クン様と女子高生美奈子の禁断の恋物語
教師生活は決して長くは無いが、その中で25点と言う点数を俺は見たことは無かった。
学生生活に置いても周りを見ても現国でそんな点数を取っている奴もいなかったと記憶している。
それだけに愛野の点数も彼女自身も興味をそそられた。
点数こそ悪いが、間違えた全ての回答は惜しかった。
頭が悪い、と言う訳では無いらしい。
では何故間違えるのか?
彼女に何が足りないのか?
それを率直に知りたくなった。
これは期末までに何とかしてやりたい。
ただそれだけで週一で補習を提案するに至る。
本人は部活もあるし、勉強嫌いそうだから嫌がるだろうが、彼女のためでもある。
文句を言われようが、憎まれようが受け入れて根気強く付き合ってやろう。そう思った。
「西塔先輩、難しい顔してますね?」
愛野の答案用紙と睨めっこしていると、英語教諭の田中先生に話しかけられる。
「ああ、いや、愛野の点数に悩んでまして……」
「愛野さんですか?そんなに悪かったんですか?」
「ええ、まぁ……英語はどうなんですか?」
「彼女、英語は得意みたいですね。67点でしたよ。彼女は昨年も持ってましたけど、大体いつもこの位の点数ですね」
は?一体どういうことだ?
母国語の現国が25点で外国語の英語が67点?
いっそ英語圏に移り住んだらどうだろうか?
そんな馬鹿な事を考えてしまった。
他の教科はどうなんだろう?
フッとそんな事を頭に過り、他の教師に聞いてみたくなった。
お節介ではなく、興味本位だ。
「すみません、北川先生。愛野の数学の点数ってどうなってます?」
「ああ、西塔先生。愛野さんね?ええっとぉ……41点、ですね」
「そうですか。ありがとうございました」
「いえいえ、気になります?」
「ええ、まぁ……」
「あの子、不思議な子ですもんね!」
数学の北川先生は女性だが、変な意味に聞こえて来るのは何故だろう。
っと言うことはさて置き、数学も余りいい点数では無く一先ずホッとする。
その後も俺は各教科の先生に愛野の点数を危機に回るということをやってのける。
自分でも何故ここまで気にして余計な仕事を増やしているかは分からない。
ただ分かったことは英語関係は平均を取れていること。それ以外は赤点スレスレ、国語関係は赤点と言う事だった。
何とかしなければ、何とかしてやりたい。
そんな気持ちになっていた。
そんな思いで、気づけば愛野の答案用紙に補習をする事を書いていた。
他の生徒はみな赤点を免れている。
愛野だけの特別補習と言う事になる。
部活がある為、嫌がって来ない事も想定済みだ。
そうなれば課題のプリントをやらせるだけだ。
我ながら世話焼きと性格が悪いと嘲笑う。