百億ボルト・ロックン・ルージュ


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張り切って勢いのまま始まったカラオケ対決は精密採点DXで自信ある5曲をそれぞれ入れて対決する事になった。
1曲は既に終わってるから実質は4曲ね。
1曲目は勝ったけど、何とかギリギリだったから自信ある曲を選曲しないと負けるかもしれない。
意外と好敵手だから気を抜けないけど、いい練習にはなるから有難い。
で、この採点機能の対決では明菜ちゃんのDESIRE、伊代ちゃんのセンチメンタルジャーニー、おニャン子のセーラー服を脱がさないで、薬師丸ひろ子のセーラー服と機関銃で勝負をかけた。
アイドル志望だからアイドル縛りよ!
公斗の方は勿忘草、僕が僕であるために、卒業、15の夜って相変わらずの尾崎豊縛りで来たわ。
余程尾崎豊が自信あるのね?
まぁ声質としては合ってるんじゃない?
歌唱力はどうだか知らないけどね!

「お前は16じゃなくてもう18だろ!」
「うっさいわねぇ!歌詞なんだから黙って聞いてなさいよ」

センチメンタルジャーニーを歌い出すとどうでもいい事でツッコミ入れて来てイラッとした。

で、それぞれ歌った結果、2曲目3曲目は公斗、4曲目5曲目は私の勝ちで、精密採点DXは私の勝ちになった。

「次は全国採点よ!」

精密採点DXを終了して全国採点に切り替える。
これは単純に歌った曲の全国の順位の高さを競う方法。
より順位が高い方が勝ちっていうシンプルな奴なんだけど、曲によっては歌われてる人数が違うから同じ曲の方が良さそう。

「同じ曲5曲で勝負よ!」
「知ってる曲にしてくれよ」
「了解!」

で、入れたのはジャニ○ズの曲!
少年隊の君だけに、光GENJIのパラダイス銀河、マッチの愚か者、SMAPの世界に一つだけの花、キンキの硝子の少年と言う選曲。
私は高いキーの方がいいけど、公斗は低音だから考慮した結果だった。

公斗はジャ○ーズを歌わせても上手かった。
うん、もうこれは歌が上手いで決定だわ!
歌唱力は産まれ持った才能っていうしね!

「本当に上手いわね」
「お前も中々上手いぞ」
「そりゃあアイドル志望なんだから当たり前でしょ!あんたは歌手志望でもなんでもないのかな何でそんなに上手いわけ?」
「付き合いで歌ってたら上手くなったと言っただろ」

いや聞いたけど、そろそろそれ以外の答えが欲しいのよね。
絶対、付き合いだけでここまで上手くならないと思うの。

「絶対嘘よ、元々上手いのとDHAって奴でしょ?」
「それを言うならDNAだ。まぁ遺伝はあるかもしれないな」
「じゃあご両親のどっちかが上手かったのね?」
「ああ、母が昔コーラス部だったそうだ。上手かったし歌声が綺麗だったな」

漸く化けの皮が剥がれたわね!
やっぱりDHAなんじゃない!
歌が上手いのも頷けるわ。
それにしても隠してるなんて人が悪いわよね!

で、この全国採点の結果は公斗の圧勝だった。
私、男の人の曲苦手なのよね……。それが浮き彫りになったし、お陰で欠点が知れたから有難い。
勝ってばっかりも自分の為にならないわね。
負けて自分の弱さを受け入れて、そこに向き合う事も大事だって気づけた。
負ける意義もちゃんとある。

負けて悔しくないのかって?
めちゃくちゃ悔しいわよ!
悔しくないわけないじゃない!
でも悔しがってるばっかりじゃ成長しないでしょ?
オーディションの為のカラオケなんだから自分のダメな所もちゃんと知っとかないとでしょ。私、偉くない?なんて笑

「次は分析採点マスターよ!」

これも精密採点DXと似た感じ。
採点を競うシンプルな対決。
お互いの自信のある曲を入れることになった。

「負けても文句言うなよ?」
「何で負ける前提なのよ?勝つわよ!」

中一の時、音鳴くんのカラオケBOXに通ってどんだけレパートリー作って上手くなったか!
よく考えるとここまでアイドル曲しか歌えてない事に気づいた私は、演歌、ロック、R&Bなんかを選曲してみた。
幅広く歌える所を見せてやるんだから!

負けじと公斗もまさかの演歌、ロック、BLACKMUSIC、しかも洋楽を入れてきた。
英語も歌えるのか……カッコつけね。
私も歌えないわけじゃないけど、採点となると自信ないから選曲しなかったんだけど。
公斗は自信あるから入れたのよね?

で、歌うのを聞くと確かに上手い。
何でも器用にこなす性格、本当に羨ましいし、腹立たしい!

対決の結果は私の勝利だった。
勝ったことには単純に嬉しい。
けど、素直に喜べない自分がいる事も確か。
やっぱりまだまだ私より上手い人がいるんだって思い知らされる結果になった。
対決した事に後悔はないし、何なら勉強になったから有意義な時間を過ごせたと思う。

結局、このカラオケ対決は3番勝負で終わってしまった。
10分前に連絡が入り、延長しようと思ったけど、混んでるみたいで延長不可だった。
残念だけど、仕方ないわね。

公斗がこんなに歌う人だとも思ってなかったし、上手いとも思ってなかったから驚いたし、誤算だった。
本当だったら得意な曲を重点的に歌ってオーディション用に仕上げる予定だったのに出来なかった。
対決して得る事もあったからして良かったと思うけど、結局オーディション用の曲を決めるに至らなかったのは失敗だった。
また来る必要が出てきてしまったな。
今度は公斗じゃなくてレイちゃん誘ってみよう!
きっと的確なダメ出しとアドバイスをくれると思うから。

「今日は付き合ってくれてありがとう♪」
「ああ、久しぶりのカラオケ、俺も楽しかったからな。お前の歌声も聞けたし、満足だ」

何よ、素直で調子狂っちゃう!
私も公斗の歌声と歌が上手いって事知れて、色々収穫あって楽しかったわよ!




おわり

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