07:嫉妬してる?
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日も落ちた頃、レンが2階に上がろうとエントランスホールに向かっていたとき、
エントランスホールの中央で向かい合っている勝又と森尾を見つけた。
なにやら神妙な面持ちで話し合っている。
「―――頼んだよ」
そう言って勝又が薄い笑みを浮かべた。
森尾も笑みを返す。
「軽い運動のつもりで行ってきますよ」
森尾がそう答えると、勝又は「気をつけて」と言ったあと、レンとすれ違って廊下を歩いて行った。
レンは片眉を吊り上げ、タイミングを見計らってエントランスホールに足を踏み入れる。
森尾に声をかけようとしたとき、
「なあ~、マジで殺んの?」
由良が手すりを滑って降りてきた。
「立ち聞きしてたのか」
森尾がそう言って呆れる。
(あたしも途中で立ち聞きしてたけど…)
「なぁ、なんの話だ?」
レンが森尾に尋ねると、代わりに由良が答えた。
「おー、レン。優男君のモリヲが、タイスケ殺しに行くんだってよー」
(タイスケ……。前に由良に傷を負わせた能力者か。広瀬の友達…って聞いてたけど…)
返り討ちに遭った由良を迎えに行ったあと、その能力者のことを由良から聞いたことを思い出す。
「森尾が行くのか?」
レンにとって森尾は、人を殺すというイメージがどうにも湧かない。
能力は“風”。
宙に浮いたり、真空から作り出したカマイタチを飛ばして物を切り裂くことができる。
「すぐに帰ってくるから」
そう言って森尾が笑みを向けた。
「……気を…つけろよ」
レンは、ついていこうか、と言いそうになった。
「ああ」
森尾はそう答え、屋敷から出て行った。
その背中を見て、レンの不安がさらに募る。
由良が出かけて行った時と同じだ。
遠くから、エンジン音が聞こえる。
森尾が自身の車に乗って行ってしまった。
「……………」
レンは森尾が出て行った玄関のドアを見つめる。
「心配してんのか?」
由良が顔を覗き込んできた。
「……当たり前だろ」
無愛想に言って、レンは由良とドアに背中を向ける。
「…………」
それから押し黙ったあと、口を開いた。
「本当は…怖ぇんだよ」
「ん?」
「こんな夜に、親しい奴が出かけて行くのが……」
あの夜の兄を思い出し、胸騒ぎを覚える。
そして、その胸騒ぎは、のちに本当のこととなった。
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