01:やっと会えた
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
広場へ近づくにつれ、騒ぎが大きくなっている気がした。
怪訝な表情を浮かべた旅の女は、向こうから逃げるように走ってくる人の群れを避けながら死刑台へと近づいていく。
「なんの騒ぎ!?」
すれ違いに通行人のひとりをつかまえて尋ねる。
「道化のバギーだ!! あいつが広場で暴れてる!!」
焦る通行人は旅の女の手を振りほどき、「あんたも早く逃げな!! 巻き添えを食らうぞ!!」と忠告して逃げて行った。
「っっっ!!」
しかし旅の女は、忠告を無視してさらに足を急がせた。
悲鳴や銃声が響き渡り、怒号が聴こえ、やがて静かになった頃に、ようやく広場へと出た。
町が見渡せるくらい高い死刑台の上には、サーベルを手に持ったピエロの格好をした男―――道化のバギーと、穴の空いた板で首と手を固定され、今にもバギーによって斬首されそうになっている麦わらの男がいた。
どちらも東の海にしては高額な賞金首だ。
死刑台は大勢の一般人や海賊に囲まれ、まるで公開処刑の状況である。
突然の場面に、旅の女は困惑する。
どういう経緯でこの状況があるのか。
サーベルを振り上げたバギーが、麦わらの男の首目掛けて思い切り振り下ろした。
「わりぃ。おれ死んだ」
同時に、麦わらの男が笑った。
見上げていた旅の女の肌がざわりと粟立つ。
一瞬、風が冷たくなった。
景色が、カッとまばゆい光に包まれる。
バリバリバリバリッッ!!!
大気を裂くような音とともにバギーのサーベルに雷が落ちた。
死刑台は青白い炎を上げながら崩れ落ちていく。
信じられない光景に、誰もが言葉を失った。
旅の女も同じだ。
カラン…、とバギーが持っていたサーベルが旅の女の足下に落ちる。
「あ」と発した時には、ぽつぽつと雨が降り始めた。
.