03:見習いだからね
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
部屋に戻る途中、アルビダは立ち止まって天井を見上げる。
どこかで轟音が聞こえ、悲鳴とともに船が揺れた気がした。
「バカ騒ぎが好きだね、うちの男どもは…」
また宴でも始めたのかと呆れながら、自身の部屋に戻ってきた。
「!」
そこには本棚の整理をしているルビーがいた。
タイミングが悪い、とアルビダは表情を渋くする。
ルビーもドアが開けられる音でアルビダが入ってきたことに気付く。
「あ、アル姉」
いつの間にか呼び名も決まっていた。
アルビダはあえてつっこまず、金棒を担い、厳しい表情でルビーを睨み付ける。
「アタシの部屋で何してんだい」
「掃除」
見ればわかるのだが。
「勝手なことするんじゃないよ」
「入っちゃまずかった?」
「それ以前の問題だ。アタシはまだ、素性の知れないあんたを快く迎え入れたわけじゃないからね。ただ、この船の船長はバギーだから、仕方なく合わせてやってるだけさ。もし、バギーが航海中に不幸にも死んだ場合、この船を頂くと同時に、あんたを船から追い出してやるから。気紛れに寝首をかかれないよう気をつけな」
本人から本音と警告を告げられても、ルビーはキョトンとしているだけだ。
少し上を向いて返事を考えてから微笑みとともに言い返す。
「せんちょは死なせないから。あたしがいるかぎり」
「もしも、って話だよ。ちゃんと人の話聞いてんのかい」
自分の心配はこれっぽっちもしていない、といった様子だ。
「悪いけど下りる気はないし、約束があるから」
「果たしてるだろう。バギーは忘れてるみたいだけど」
「うん…。それだけじゃないけど…」
「?」
呟かれた意味深な言葉に、アルビダは小首を傾げた。
そう言ってる間に、ルビーは本の整理を済ませ、部屋を出ようとする。
「まっ、寝首もかかれないよう気を付ける」
「妙な行動はしないことだね。掃除だってどーせ適当に…」
ドアの付近にある小棚に指先で触れ、つぅ、となぞってみる。埃は一切付着していない。
改めて部屋を見回すと、床もキレイに磨かれ、整理整頓も怠らずに終わっていた。
完璧な掃除にアルビダの口元が引きつった。
「……やるじゃないか」
「? どーも?」
ほだされてなるものかと耐えるが、思わずルビーの肩に手を置いてしまう。
アルビダの部屋を通り過ぎようとしていたカバジは、部屋の会話を聞き取ってしまい、小さく呆れていた。
(ほだされかけてる…)
.