00-2:Who do you mean?
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5月18日金曜日、図書室での席順は、奥の左端が足立先輩、手前の左端があたしとなっていた。
きっとこの席も、中間テスト前日までだろう。
先輩の説明はとてもわかりやすかった。
3年になれば大学受験に向けて模試など受ける。
先輩はあたしより長く勉強漬けで、いつでも万全な備えなのだ。
最後の学年だから思い出作りの為に、とたまに力を抜いてる他の3年生とは違う。
彼は思い出も作ろうとしていない。
「君さ」
ふと、先輩に聞かれた。
視線はノートに落とされたままだ。
「友達いないの?」
「いません」
あたしは即答する。
「だろうね…。いたら、僕じゃなくて他の子たちと机を囲んでやってるもんね…」
先輩は何やら納得した様子だ。
「本来、勉強は騒いでやるものじゃありません。集中が途切れます」
「僕といて集中できる?」
「できますよ。同じことやってますから」
「あ、そう」
「足立先輩は?」
「僕?」
「邪魔になってませんか?」
「なってたらどうしてると思う?」
聞き返された。
あたしが黙っていると、先輩は鉛筆を器用に、くるん、と回した。
「そこ。2問目、式が逆」
「あ」
静かにやっても、集中力なんて簡単に途切れてしまう。
でも、ここでは許された。
窮屈な家ではないし、厳しい父もいない。
ふわり、とノートのページがめくれる。隣の、開いた窓から風が入ってきたようだ。
耳を澄ませば、葉擦れが聞こえる。
胸の内が、不意にやわらかくなった気がした。
ふかふかのぬいぐるみを抱きしめているように。
「…今、笑った?」
「誰がですか?」
.To be continued