38:Forever and Ever
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「手紙…」
足立は目についたものからとって、封筒の中に入った手紙を読む。
「これ…、全部夜戸さんが…」
手紙の存在を知らなかった森尾も驚いている。
手を伸ばしかけたが、横から姉川に手をつかまれて止められた。
200通は超えるだろう。
足立は1枚1枚に目を通す。
どれも、夜戸の想いが込められていた。
検閲は通るだろうが、他人には見られたくない文章ばかりだ。
顔が徐々に熱くなるのを感じた。
「……これってさ…」
手紙に視線を外さず月子に尋ねる。
「おねーちゃん、書いて出そうとしたけど、連絡とれるようになったら凄く会いたくなるからって」
「もしかしたら、明菜姉さんなりの、ケジメで、罪の償い方だと思う…」
運命に翻弄された身だと言うのに、未だに責任を感じてる様子だった。
会えるはずなのに、会いたい人間に会えないことは、身が引き裂かれるほど辛かったはずだ。
手紙でさえ夜戸の中では許せないものだったのだろう。
「本当に、夜戸さんも随分自分勝手だな…。頑固なのはいつものことか…」
聞こえない声で、「俺だって、どれだけ…」と呟き、席を立って森尾達ひとりひとりに振り向いた。
平静を装ってはいるが、じっとしていられない。
確実に会える方法を知りたかった。
「……夜戸さんは、今、どこにいるの? 仕事?」
「昨日、父さんと母さんのところに泊まったから、今日こっちに帰ってくるよ。そろそろ駅をおりて、そのまま徒歩で向かってるんじゃないかな」
月子に教えてもらった足立は、持っていた1枚の手紙をつかんだままドアへと向かった。
その際に持ち込んだ紙袋に足が当たって倒してしまったが、気にも留めてる余裕はなかった。
「「「「「いってらっしゃーい」」」」」
森尾、姉川、落合、ツクモ、月子が足立の背中に声をかけた。
「うん。行ってくる!」
足立は肩越しに笑って小さく手を上げ、ドアの向こうへ飛び出す。
「誰か、足立さんに「おかえり」って言った?」と姉川。
「言ってねぇな」と森尾。
「言ってないよ。だってそれって…」と落合。
「最初に言う人は決まってるさ」とツクモ。
「だねー。月子たちは、みんなで2人に言うの」と月子。
「あぶー」
菜月が床に倒れていた紙袋の紐部分を持って引きずっていた。
「あ、コラ、菜月」
「ん? アダッチーが持ってきた紙袋さ?」
カウンターから出て来た姉川は、菜月を抱き上げる。
その際に、紙袋がひっくり返り、中身が散乱した。
「! ねぇ! これ…!」
声を上げたのは月子だった。
「あ」と全員がこぼれ出たものを凝視する。
夜戸ほどではないが、手紙の束だ。
宛先も全部夜戸宛てだった。
「もしかしてあいつも…」
「本当にあの2人、いつまで経っても不器用カップルさ…。ツクモ達がいつまでもついていないと!」
ツクモが自身の胸をぽこっと鳴らしている頃、店を飛び出した足立は数歩進んで立ち止まっていた。
相手も、足立の姿を見て、立ち止まる。
「足立…さん?」
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