29:Will you stay with me tonight?
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手を引っ張られ、夜戸の部屋に到着するなり、ベッドに押し倒された。
足立がいるだけで部屋が自分の物ではない気がする。
メガネは取り去られ、枕元に置かれた。
自分のジャケットを床に無造作に落として夜戸に覆いかぶさる足立は、ひとつずつ夜戸のシャツのボタンをプチプチと外していく。
「ま、待って…」
露わになったのは、変色した傷痕だ。
足立の手が止まる。
見られるのなら赤色の方がよかった。
「いつから?」
「…さっき…、脱衣所で気付いて…」
「痛む?」
「今は…平気です」
「触ってもいい?」
「……ど、どうぞ…」
反射的に手で隠しそうになったが、意外な頼みごとに驚きながら許可した。
足立の指先がそっと十字傷をなぞる。
くすぐったくてわずかに身をよじった。
足立の指先に伝わるのは、すべすべの肌の感触だ。
緊張を訴える脈動も伝わってくる。
「…ッ」
不意に傷痕を熱い舌先で舐められ、びくりと体が跳ねた。
「…怖い?」
「こ…、怖くな…、うそです。初めてでビビってます」
「ははっ。正直者でよろしい。任せて、なんてカッコいいこと言えないけど、楽にしてくれたらいいな…」
くしゃくしゃと髪を撫でられ、落ち着かせるように頬や首筋にキスを落とされた。
触れらたところに熱が移り、じわじわと温度を上げていく。
慣れた手つきだが、今までどんな女性と付き合っていたのだろうか。
恋愛豊富な女性かもしれないし、うぶな女性かもしれない。
考えるとモヤモヤしてきた。
そっと伸ばした手を、足立の胸に当てる。
「!」
突然触れられ、足立は何をされたのかわからないといった表情を浮かべた。
ドッドッドッドッ…
「…? え?」
淡い期待を抱いて触れたつもりだった。
逆に驚かされる。
余裕そうに見えたのに、初めてであるはずの夜戸と同じくらいに足立の心臓も暴れていた。
「足立さんも…緊張してるんですね…。ふふ…っ」
「なに笑って…、ん…ッ!」
いじけた子どもみたいな顔を見せたものだから、可愛いと思った夜戸は足立の顔を引き寄せてキスをしたが、お返しに乱暴なキスを返され、頭の中を掻き乱され、息が苦しくなったところで解放する。
ぷはっ、と息継ぎし、不敵な笑みとともに見下ろされた。
「笑ってるとこ悪いけどさぁ…、泣かすからな」
片手でネクタイを緩める姿に目を奪われ、夜戸はゴクリと唾をのみ込んだ。
「お…、お手柔らかに…」
要望が叶うかどうかはわからないが、痛みと違った、熱を纏った想いで満たされる。
いっそ、満たされて満たされて、そのまま胸がはち切れてしまっても構わないと思った。
.To be continued