28:Let me sleep
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同日、午後23時。
足立、森尾、ツクモの3人はトコヨの町から捜査本部に戻ってきたところだ。
短時間の捜索だったが、探知と回復の姉川がいないだけでシャドウに取り囲まれそうになった。
疾風属性の夜戸と、火炎属性の落合のありがたみも痛感する。
全員揃ってバランスがよかったのだ。
「やっぱり、明菜ちゃん達がいないとスムーズにはいかないさ」
「俺達だけでも余裕だと思ってたんだけどなー」
「大型が5体いっぺんに来られちゃったらね~。はぁ。しんど」
足立は肩を擦りながら、席に着く。
「おかえりなさい」
テレビの画面から月子が出て来た。
少女のあどけない笑顔に、思わず表情が緩む。
夜戸がいない間は、自ら積極的にテレビから出て来るようになった。
ツクモを両腕で抱きしめ、席に着く。
「つかれてる?」
顔を覗き込まれ、足立は「まあね…」と苦笑いした。
「ツクモ達が探索に行ってる間に帰ってくるかと思ったのに…」
1泊するだけだと言っていたのに、夜戸達から連絡も来ない。
「無事に帰ってきてくれればそれでいいんだけどな」
昼間の不穏な話を思い出す。
カバネが現在どういう動きをしているかは依然謎に包まれたままだ。
姉川がいた時だって、トコヨに侵入している痕跡も残していなかった。
ひょっとすれば、今ではウツシヨの方が危険なのではとさえ警戒してしまう。
「心配してないって言ってたじゃない」
「全然、これっぽっちも、とは言ってない」
足立の言葉に口を尖らせて言い返す。
「おねーちゃんたち、大丈夫なの?」
森尾は、しまった、と冷や汗を浮かべた。
身内に心配をかけてしまう。
「最強メンバーだから大丈夫大丈夫」
励ましながら月子の頭を撫でた。
それからバツが悪そうに席を立ち、手前の扉へと移動する。
「俺はもう少し寝てくるから、姉川たちが帰ってきたら起こしてくれ」
「モリモリ、寝起き悪いからあんまり起こしたくないさ」
ツクモがぴしゃりと言うと、ムッとした森尾はツクモの右前足をつかんで持ち上げた。
「じゃあお前がまくらになってくれよ」
「あ~れ~」
2人はそのまま手前の扉の向こうへと行ってしまう。
足立は「おやすみぃ」と手を振って見送った。
捜査本部は、足立と月子の2人だけだ。
月子にせがまれてハンカチを使った軽い手品を見せたあと、月子が目をこすり始めた。
今日の眠気との戦いは頑張った方だ。
「僕たちも寝ようか。僕だけトコヨに行ってもしょうがないし」
「月子…、眠くない…」
「はいはい」
軽く聞き流しながら、抱っこする。
「おねーさんがいなくて寂しい?」
「寂しい…」
そんな会話をしながら、テレビの画面に入った。
「……君は僕に言ったよね」
カクリヨの戦いで、足立ひとりが夜戸のもとへ向かおうとした時、すれ違い際に月子が言ったのだ。
『おねーちゃんを、救えるの?』
月子が言った、「救い」というのは、文字通りなのだろう。
夜戸は自分が殺されることを望んでいたが、望みを叶えるために協力的だった月子は、内心では夜戸の死は望むものではなかった。
「おねーさんのこと、好きなんだね」
「好き…。うん…。月子は、おねーちゃんが大好き」
子どもらしい、素直な返事だ。
月子は眠そうに聞き返す。
「足立のおにーちゃんは、寂しくないの?」
「どうかな…」
「おねーちゃんのこと、好きじゃないの?」
「……どうかな」
「ズルいよ。月子は答えたのに」
頬を膨らませる月子に、背中を叩いてあやす。
「大人ってズルいんだよ。あと、素直に「寂しい」って言えないの」
「ふぅん…。言っちゃダメなんてルール…ないのにね…」
「へんなの…」と呟いたあと、寝息が聞こえた。
「ルール…か」
ベッドに寝かせて小さな額を撫でる。
「ん…」
少し寝心地が悪そうだ。
毛布を首元までかけて、ぽんぽんとおなかの部分を軽く叩いた。
「さすが妹…。夜戸さんみたいなこと言うよね」
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