24:Let's go back
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「あたしが…、殺されたがってるって…? ……何を…」
しらを切って口角を上げたかったが、失敗する。
足立の左胸をナイフで突き刺してしまった事実が、取り繕う余地を与えてくれない。
天井を見上げて倒れている足立は、左胸を押さえたまま苦しげに声を出した。
「戦っている時もそうだ…。攻撃はどれも…みんなが対応できるものばかりだった…。森尾君が攻撃してきた時だって…、ナイフでアゴを狙えるところ…、君はあえて手のひらを当てて反撃したんだ」
ナイフ一突きで殺せるタイミングはいくらでもあった。
それなのに、高確率で回避できる方へナイフを飛ばしたり、司令塔でもある姉川を真っ先に片付けるべきところを後回しにしたり、不利な状況の中、「遊び」と言ってペルソナを出さなかったり。
「望む結末が迎えられなかった時…、自分自身を抑えつけるのも限界がきた。そこで、君の妹…月子ちゃんが、助け舟を出した」
あらかじめ、打ち合わせをしていたのではないか。
もし、あのままペルソナを使用して戦っていたら、欲望に呑まれた夜戸が、誰かを殺してしまうのではないかと。
夜戸は何も答えない。
黙ったまま、口端から流れる足立の血を見つめていた。
「全部が嘘とは思ってないけど…、君の口から…本心を言いなよ。疲れたでしょ…」
「あ……たしは……」
どう言えばいい、と夜戸が自問自答したところで、
ザザッ…
近くに落ちていた、ブラウン管テレビの画面が点いた。
足立も、音に反応してそちらに頭を傾ける。
ノイズに覆われた画面に、何が映されるのか、今までの赤い傷痕を巡ってここまできた2人にはわかっていた。
「見られたくないなら、壊しなよ」
「……散々、みんなのを見てきたのに、あたしだけ見せないのは、不公平です」
画面には、虚ろな表情をした自分自身の姿が映った。
同じスーツを着ていて容姿が微塵も変わらないため、いつの頃かは本人にもわからない。
メガネの奥は、まるで人形みたいに生気がなかった。
「あたしも…」と言葉を続ける。
「あたしも、自分を見つめ直さないと」
指先が、自身のこめかみに触れる。
メガネのフレームに触れる癖が、外してしばらく経つというのに、思わず出てしまった。
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