23:I knew you
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額に当てられたはずの銃口は、カチン…、と虚しい音を立てただけだった。
引き金を引かれたリボルバーは、空砲だ。
「バーン」
足立はそう言って小さく笑う。
「言ったでしょ。道化役になる気はないって…」
夜戸は、小刻みに震えていた。
ナイフの切っ先が、ジャケットを貫通して足立の左胸に突き刺さっていたからだ。
「あ…、あ…だち…さ…」
血の気が引いていき、首元に寒気を覚えた。
うまく言葉を発することもできない。
足立の体がずるずると下り、横たわった。
「足立さん…! 足立さん!!」
突き刺さったナイフは砕け、塵となる。
夜戸は両膝をつき、取り乱しながら足立の肩を揺すった。
「う…」
「……っ、こんなあたしを…、世界を壊そうとしたあたしを殺しても…、罪には…!」
「自殺補助は立派な罪だ」
足立は左胸を押さえ、呆れた口調で言った。
具体的な罪名に、夜戸は息を呑んだ。
足立はため息をつく。
「君は、僕が君のこと、なーんにも知らないと思ってるかもしれないけど、知ってたからね」
息をするのも辛いが、足立は一度間を置いてから言った。
「君は…、自分自身を止められなかったんだ…。だから、僕に殺されようとしてた」
「違う?」と尋ねる足立だったが、夜戸にはもう、正解、なんて答える余裕はなかった。
.To be continued