21:She may have told a lie
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夜戸日々樹の葬式の日、二又は昌輝には黙って葬式場を訪れた。
周りはひそひそと日々樹の自殺の理由を知りたがっていた。
学校のいじめか、家族から虐待か、未来へのプレッシャーか…。
いずれも根拠のないものだ。
憶測ばかりが控えめに飛び交っている。
日々樹と深い繋がりがあったわけでもないのに、知ったかぶりで話す同級生もいる。
どうして人は他人の不幸を欲しがるのか。
滑稽で笑ってしまうが、追い出されかねないので我慢する。
参列者に紛れ、日々樹の遺影を見つめる。
(幸せそうに笑う写真があってよかったな)
役割を与えられた日々樹が家族の前で笑うことはなかった。
月子に対しても、表情が崩れるほど笑ったわけでもない。
もちろん、自分の前でも。
もう、潰したいと思える表情が見れない。
二又は自身の胸に手を当て、少なからず自身に喪失感があることに気付いた。
この穴を、役割を、どう埋めようか、と物静かに考え、そこで見つけたのが、日々樹の妹の夜戸明菜だった。
月子のツギハギのぬいぐるみを抱きしめる少女が、ふと、参列者に振り返った。
その目を見た瞬間、二又は心を鷲掴みにされた。
鳥肌が立ち、口角を上げる。
『いい目だ』
穴埋めに相応しい人材は、すぐに見つかった。
自分には欠落している、ありえない、と馬鹿にしていた、『一目惚れ』とはこの感覚のことだろう。
首の傷痕に異変が起きる。
(次は、あの子だ。最後は、あの子がいい)
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