18:That’s too bad
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同日、午後21時。
足立は早めに捜査本部を訪れた。
いつもの手前のドアから入って室内を見回すが、誰一人見当たらない。
「……風呂、入ろうかな…」
思いっきりシャワーを浴びたい気分だった。
脱衣所のドアに近づき、ノックする。
前のように、突然開けて女子が着替え中なら、再び姉川から強烈なビンタを食らうだろう。
ふと、下着姿の夜戸を思い浮かべ、頭を振る。
「あ、透兄さん」
ドア越しから聞こえたのは、落合の声だ。
「入ってもいいよー」
許可が下りたので、ドアを開けると、半裸の落合がそこにいた。
カツラをとっているため、普通の男子に見える。
化けるものだ。
華奢だが、ほどよく筋肉もついている。
「こうしてみると、男子だねぇ」
「体質なのか、兄さん以上に筋肉量はないけどね」
「女装中?」
「うーん。その前にお風呂入ろうかなって」
笑いかける落合に、足立はその体の腰の部分を見た。
左側に古傷、右側に赤い傷痕がある。
落合は身をわずかにひねって古傷を隠す。
「こっちは、元々あった傷痕」
「テトラポットから落ちたって聞いた」
「やだな。兄さん、勝手に話して…。恥ずかしい思い出の傷だから、あまりじっと見られたくないんだよ。華姉さんに変装を手伝ってもらってる時も、見せないようにしてるんだ」
恥ずかしそうに頬を染め、脱ぎたてのシャツを胸元で握りしめる仕草は、どこか女性らしい。
(天然か)
感心してしまう。
きっと本物の女性に生まれても、さぞやモテていることだろう。
「…赤い傷痕」
「……透兄さん?」
赤い傷痕を凝視する。
それから、頭を掻き、「はーあ」とため息をついて真上を見上げた。
「ど、どうしたの?」
「あー…。うん。なんでもないことないんだけど…」
右手で顔を覆い、左手で制す。
落合は丸い目をパチパチとさせた。
「…珍しいね、悩み事? そうだ、一緒にお風呂はいろっ」
いい事を思いついた、といった発言だ。
「え」
「どうせ入る予定だったでしょ。ほらほら脱いで脱いで。話はそこでもいいでしょ」
「自分で脱ぐって。ちょっと~」
素っ裸にされ、背中も頭も洗われ、ドライヤーも当てられた。
脱衣所を出た頃には全員集合し、癖っ毛のないサラツヤヘアーに、森尾と姉川とツクモは指さして大爆笑し、夜戸も物珍しげにガン見していた。
「いや~。トリートメントってすごい。そして君らうるさい」
さて、朝までに髪は戻ってくれるだろうか、と呑気に心配すると同時に、これからどうするかと深く考える足立だった。
賑やかな笑い声と、夜戸が淹れたコーヒーの香りに包まれながら、数日前に夜戸が二又から取り返してくれたネクタイを締め、夜戸がしばらく預かってくれていたリボルバーに銃弾を装填した。
「今日も行こうか」
たまには、と足立から言い出してみる。
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