「憂妃......？」


ふわりと鼻孔をくすぐる彼女の香り



「雲雀さんの言う通りです。私、好きな人ができたんです」



彼女の背に回そうとした腕がピタッと止まる



「相手は誰だい？」

「...雲雀さんが咬み殺せない相手です」

「へぇ......どんな？」

「とても負けずぎらいで」

「うん」

「体調悪くてもがんばっちゃう意地っ張りで」

「うん」

「並盛が大好きで」

「...うん」

「そして......」


キュッと学ランを掴む



「みんなからは恐れられてるけど本当はすごく優しくて強くて...同じ委員会の人からは慕われてて...黒髪でいつも学ラン着てる、とても......大好きな方です」


「.........」



憂妃を包む腕の力が強まる



「憂妃......」


「？ 雲雀さ......ん...!?」



ぐっと顔を両手で包まれ上を向かせられる



「一度しか言わないからね」



優しげに細められた目

穏やかに紡がれる言葉






「好きだよ」






唇に触れる温もり

愛しさを込めて、口付けを贈る



「!!?...雲雀さ......!?」

「ワオ、なんて顔してるの」

「だって......」


真っ赤な顔で口元を手で覆う


「ほ、ほんとに......!?」

「鈍いにもほどがあるね。僕はかなり前から君にアプローチしてきたつもりだけど」

「えー!?」

「それで、君からの返事は？」

「...っ、私も...雲雀さんのことが...大好きですっ」

「...うん、一緒だね」




やっと......通じた




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