冬終
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彼と出会って7回目の冬
今年は一段と雪が降り積もっている気がした
今日も町に雪が降る
「ねぇ」
窓の外で雪にはしゃぎ駆け回っている男に声を掛け、窓から身体を乗り出した
鼻がツンとするような寒さで肩をぶるっと震わせた
「なまえ!危ないよ!」
「大丈夫だよ。全くリンクったら大げさなんだから…」
「去年もそう言って雪に突っ込んでって風邪引いてたのは誰だっけ?」
「うーん?誰の事かな〜知らないな〜」
窓付近までやってきては外に出してたまるかと言わんばかりに私の肩を押してくる
その様子を見てくすっと笑っていると、あからさまに不機嫌そうな顔をされてしまった
確かに去年は防寒着を着ずに雪にダイブして見事風邪を引いたけど、今はニットにイヤーマフやマフラー、手袋までして防寒着バッチリなのに彼はそれでも駄目だと言ってくる
私の事を赤子か何かだと思っているのかもしれない
「なんでそんなに外に行きたいのさ」
「楽しそうだから!」
「ただ寒いだけだよ」
「じゃあなんでリンクはその格好で楽しそうに雪遊びしてんのよ…私もリンクと遊びたいー!」
「絶対ダメ!」
彼の格好はいつもの緑の衣にマフラー1枚巻いただけ
確実に寒いだろうという格好なのに風邪引かないのが不思議すぎる
それに彼だけ薄着で駆け回ってる癖に私が駄目な理由がわからないし、お家で暇そうに本読んでる人の家の外で雪遊びするのが悪いんじゃないか、そう思う
だってどう考えたって見てたら遊びたくなるのに
未だ窓の外で私が出ていかないようにディフェンスをかましている彼
どんだけ嫌なんだ
「ほら!窓閉めて!」
「やだー」
「やだじゃない!また風邪引いちゃうよ」
「そんな簡単に風邪引かないし!私もう子供じゃないんだけど!?」
「ダメ!なまえはまだ子供でしょ!」
同い年のくせに何言ってるのかサッパリ分からない
そろそろイライラしてきた私は窓の枠に足をかけて、思いっきり彼に向かってダイブした
流石の彼も私が飛び込むとは思わなかったのか、2人揃って雪の上に倒れ込んだ
下敷きになった彼が何か小言を言っている様な気がしたけど無視して、雪の上に大の字で寝転がって冬の冷たい空気を大きく吸い込んだ
「つめた~い」
「雪だから」
「リンクばっか楽しい事してずるい」
「わがままだなぁ…」
彼も隣に寝そべって雪雲で少し暗くなった空を見上げてため息を衝き、私を止めるのをやっと諦めたのか、暫くの間何も話さなかった
ずるい
ずるいな
明日になったら彼はまた旅に出る
次会えるのはいつかもわからない、終わりの見えない旅
そんなひょっこり帰ってきてはすぐに何処かで行ってしまう彼を見送る私の気持ちを考えた事はあるのだろうか
「何処にもいかないで」
そう言えたらどんなに良かっただろうか、言ってしまえば彼は困り果てた顔をして何も言えないだろう
分かってる
だから、少しでも長く彼の側に居させて欲しい
「ね、リンク」
「何?」
「来年もまた会いにに来てくれる?」
「うん、絶対なまえに会いに行く。約束するよ」
「それほんとに守れるのー?」
「俺なまえとの約束破ったこと無いでしょ」
雪の上から起き上がり、彼の方を見ると彼も起き上がって腕やら足についた雪を払っていた
改めて見ると、見てるだけで寒くなりそうな格好だなと思って苦し紛れのイヤーマフを彼の耳につけた
一瞬驚いたような顔をした彼の耳をイヤーマフの上から塞ぎ、聞こえないように小さな声で
『大好きだよ』
そう呟いた
なんて言ったかと聞き返されたけど、直接言うのはなんだか恥ずかしくて言えなかった
冬の寒さで赤いのか、恥ずかしさで赤くなってしまったのか分からないけど、窓越しに映る自分の頬はとても赤かった
「なまえ」
「なーに?」
「愛してるよ」
「は…はは…いきなりどうしたの?寒さで頭やられた?」
「最初に大好きって言ったのそっちでしょ」
耳良すぎるんじゃないの
心なしか、照れか寒さか分からないけど彼の頬も赤かった…
ような気がする
「あ、そうそう。出発予定日延ばそうと思うんだ」
「え!?いっつもすぐ行っちゃうのに!?」
「毎回行ってきますの時に寂しそうな顔されてたらね…もう少し居たくなっちゃうよ。それに俺が居ないとまたなまえが風邪引くかもしれないし」
「最後のは余計なお世話だよ!!!」
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