悪夢には君の体温を
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悪夢
旅の途中、何度か宿に泊まることがあった
宿に泊まるときは大体2人別々で宿を取るのだが、今日は1部屋しか空いておらず渋々その1部屋に泊まることにした
正直ベットが2つあるなら全然構わない、そう私は思っていたのだけれども
部屋のドアを開ければそこにあるのは少し大きめなベットと丸い机に、人1人用の椅子
うん、まぁ…7年前は一緒に寝てたし平気か
そう思っていたのは私だけだったようで、後ろに続いて居たリンクは部屋の中を見るなり明らかに不機嫌そうな顔をした
おん?なんだ?可愛い女の子と一緒の部屋に要られるんだぞ?何だその顔はと一瞬拳がでそうであったが深呼吸をして落ち着く
「なまえ、」
「なにー?」
「オレ今日外で寝るからベット使って良いよ…」
「はぁ????」
何を言っているんだこの男は、世界を救う勇者が休める時に休まないでどうするんだ
しかも今日はもう夜だし外に出ればスタル系の魔物がうようよいるわで寝れるわけがないだろうがこのスカポンタン
そう思ったのはナビィも同じなようで、真っ赤になりながら彼の周りを飛んで怒っていた
女の子2人から怒られて渋々荷物を窓辺に置く彼は、ギリ私に聞こえるくらいのため息をついた
え、やっぱしばこうかなこの男
ため息をつきたいのはこっちだわと言いたげな視線を向けてから、今日も今日とて走って戦って傷だらけになった自分を癒すためにシャワーでも借りようと着替えの入った袋を手に部屋を後にした
シャワー上がり
「ふぃ〜たーだいま〜!」
そう元気よく部屋に戻れば先にベットの端っこで寝てるリンクと、机の上にハンカチを敷いてその上で既に就寝中のナビィ
まぁまぁナビィは良しとして、一応シャワー上がるまで起きててはくれないのかよと割と自分勝手なことを思いながら、部屋のランプを消してベットに潜り込む
彼が端っこで寝ているからか、ベットは多少広めに余白があって謎の距離を感じる
7年前はあんなに雑魚寝してくっついて寝ていたと言うのに今はこの距離だ
中身はあの頃と変わらない筈なのになんなのだろうか、思春期?思春期なのか?あらま〜
なんて息子を持つ母親みたいな気持ちに若干なりつつも明日もどうせ朝から出発するのだから早く寝なければと目を閉じる
…
…
…
目を閉じたからといえどそんな簡単に寝られれば苦労はしない
というか今夜は夜だが、20時前後くらいの時間帯で現代日本に生きていた中学生がこんな時間に寝るわけ無い
実際いつもは24時行くか行かないかくらいに寝ている
この子らの寝る時間が異様に早いだけで私は至って正常だとは思うよ多分、しらんけど
疲れてるとは言えこんな時間に寝るのはなー…でも起きててもすること無いから結局寝るしか無いんだよなー、そう思って結局目を瞑るだけ瞑って形だけでも寝ようとした
ギシッ
ベットの骨組みが軋み、彼が寝返りでもうったのかと特には気にしなかったのだけれども
彼の寝息が聞こえず、若干唸り声に近しい声が聞こえてきた辺りで何かおかしいと気が付いて起き上がって部屋に設置されているランプをつける
彼の方を向くと、苦しそうにベットシーツを握り締めて冷や汗を流す姿があった
流石にこれは起こしたほうが良いんじゃないか、そう思ってリンクの肩を揺さぶるとゆっくりと目を開けだした
「…大丈夫?結構うなされてたよ」
「うん…大丈夫。うるさかった?」
「うん」
「そこは否定してよ」
もし起こさなければ唸り声に近しい声でナビィが起きる可能性もあったのだからうるさいうるさくないで言えばうるさかった
ので否定はできない
沈黙
もう明かりを消しても良いかとランプに手を伸ばすと、まだ消すなという意味か止められて、しょうがないのでリンクが寝るまでランプの明かりをつけておくことにした
「あのさ、なまえ」
「なに?」
「もうちょっと近くに行ってもいい?」
「…いいよ」
先程唸るほどの夢を見ていた人に駄目だなんて言えるわけがなく、年長者の器の広さで承諾したのだが
思ったより近くて動悸がしてきたかもしれない
手をほんの少し伸ばせば触れられる距離
もうちょっと近くとは一体何だったのだろうか
近ぇよと言って引き離すのもなんだか忍びなくて、さすがに私もそこまで鬼ではないので大人しくこのまま寝ることにした
まぁ、眠れないのだけれど
こうしてじっとリンクを見つめるのもアレだったから天井を見つめて目を閉じる
それを寝たと判断したのか否かは分からないが、彼の手がぎゅっと私の手を握り締める
かなり冷たかったリンクの手を握り返して、今日はそのまま眠りに落ちた
翌朝
リンクの方もぐっすり寝れたみたいで、朝起きた時はなんとも無かったが
ナビィに何で手を繋いで寝ていたのかと聞かれるとリンクは耳を真っ赤にして
「なんでもない…」
と言って夜の出来事を誤魔化していた
まぁ、たまにはこういうのも悪く無いな…そう思った
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