煙草
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煙草
昔から家族が吸っていたから嫌いじゃなかったし、私も時々吸う事があった
ちょうど今も家のテラスで煙草を吸っている所だった
もうすぐ1本吸い終わりそうだって時に一階の玄関の扉が力いっぱいに開く様な音がして、大きな声で私を呼びながら階段を駆け上がってくる
「なまえ〜!」
「こら、リンク、人ん家で走らないの」
「ごめん!…て、あれ?」
私の手元を指差しながら驚いた顔をして彼は、また何とも言えない顔をした
彼に煙草を吸っている姿を見せるのは初めてだったし、驚く気持ちもまぁ、わからなくはないけど何とも言えない顔の意味はさっぱりわからず、吸い終わった煙草の吸い殻を灰皿に入れた
「なまえって煙草吸うんだ、」
「意外?」
「うん、すごく」
テラスの柵に背を預けてポケットからまた煙草とライターを取り出して、火をつけた
煙が風に吹かれて屋根まで登って行くのを目で追いながら、隣にやって来た彼の横顔を横目でチラリと一瞬だけ見た
「ねぇ、煙草って体に悪いんじゃないの」
「ん〜、それは沢山吸うから体に悪いってだけでたまに吸うくらいなら問題無いでしょ」
「そーいうもんなのかなぁ」
一度吸った煙を彼の方に吹いたらあからさまに嫌な顔をされたから、いたずら心でもう一度やったら煙草を持っている右手を掴まれて阻止されてしまった
少し咳き込んだ彼を見てたら、何故か笑えてきて声を出して笑った
「何が面白いの」
「ん〜?何でもない」
眉を逆ハの字にしながらムッとした表情を見せてくるリンクを尻目に煙草を持つ手を逆にして、また吸い始めた
彼はほんとに子供だ
少し意地悪したりからかうだけで怒ったり拗ねたりする
それはそれで面白いからよくするんだけど、時々やり返される
「そろそろ離してくれない?」
「やだ」
やだ…っていつにも増して拗ねる時間が長い気がする、私の勘違いかもしれないけれど
左脇腹辺りから彼の腕が滑り込んできて、柵に手を置いてから私の右肩ら辺に頭をグリグリと押し付けて来る
大型犬か何かかしら
とかなんとか考えながら小さくため息をついた
私の手を掴んでくる手が、手のひらの内側までやってきて指を無造作に絡める様に握りしめてくる
暑いったらありゃしない
「煙草くさい」
「そりゃそうよ、今吸ってるんだもの」
「でも嫌いじゃない」
「…そう」
そろそろ暑いからどいて欲しいと言おう、そう思って右を向いて口を開けた瞬間
待ってましたと言わんばかりにキスをしてきた
けど、"ウッ"っていう謎の声を出して直ぐに離れた
十中八九煙草の味がまだ残っていて不味かったんだろう
「にがい…」
「当たり前でしょ、おバカさん」
「うぅ…」
くすくすと笑いながら、また煙草に口をつける私の姿を見た彼は苦そうな顔を見せた
彼の前で煙草を吸うのはたまには良いかもしれない、そう思った
「なまえ、煙草吸うの辞めない?」
「だが断る。たまにはいいでしょ」
結局今吸ってる煙草は取り上げられた
最近は電子タバコ吸ってる人のが多いですよね、紙煙草吸ってる人見かけたら謎に感動します