狐の嫁入り
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「雨だ」
旅の移動中
先程まで青く曇り一つない空だったのにも関わらず、ぽつりぽつりと雨が降り出した
確か晴れているのに雨が降ることを狐の嫁入りだとか天気雨と言ったっけと、頭の中で思いながら空を見上げた
「なまえ。濡れちゃうよ」
「あ、すみません」
先頭を歩いていたリンクさんが振り返り、少し大きめの雨宿り出来そうな木の下で手招きをしてきたので小走りで向かう
そう言えばこの世界では狐の嫁入りの事をなんて言うのだろうか、世界が違えど言語自体は変わらないし案外同じなのかもしれない
ので聞いてみることにした
「リンクさんは晴れてるのに雨が降ることってなんて言います?」
「え、うーん…そうだな…
特に呼び方とかは無いけど、なまえはあるの?」
「私の故郷では天気雨とか狐の嫁入りって言ってましたよ」
「そうなんだ。なまえの故郷にはホント色んな言葉があるね」
たまに自分でもそれは思う
日本には色んな言葉や名前があるなと
例えば一つの物の名称が複数あったり、地域によって呼び方が違ったりする
確か狐の嫁入りの由来は、晴れてるのに雨が降ってるという摩訶不思議な現象が狐に化かされてるみたいだからとか他にも色々あるらしいけど、流石に脳みそがスッカラカンな私は覚えていなかった
が、縁起の良い物だということは覚えていた
そんな事を考えているうちにも雨は降り続け、湿った地面が色濃くなって行く
まだ止みそうに無いなと木の根の上に座り込み、止むまでただ水滴が落ちてガサリと揺れる木の葉の音を聞いて目を瞑る
眠くなりそうな音だ
眠くなりそうとは言ってもこんないつ魔物が出たっておかしくは無い場所で眠れる程呑気では無い
とりあえず雨が止むまですることも無いから、ただ呆然と雨が降る様子を眺めた
「なー」
ふと、自分の影から手のみを出してくるミドナさんが目に入り、手でも貸して欲しいのかと手を差し出したら「違う」と言われて叩かれた
とても理不尽だ…
「どうかしました?」
叩かれた手を自分で慰めるように撫でながらミドナさんにそう聞くと、顔も出して辺りを見渡し始めた
その様子にリンクさんも反応して一緒に辺りを眺めるが、特に先ほどから変わった様子もなくて首を傾げるだけだった
「なんか変な気配がしたんだけど、まー気の所為だったみたいだな」
「変な気配?」
「なんてゆーか、獣っぽい様なまた別の何かなよーな、厳密には分からないな」
「えぇ…なんですかそれ…」
ほんじゃ、と言ってすぐ影の中に帰っていくミドナさんを2人して見ていた
結局なんだったんだと雨が降っていたはずの空を見上げれば、既に雨は止んで、地面も乾き始めていた
体感物凄く一瞬の出来事だった気もしたが、リンクさんが歩き始めたのを見て木の根から立ち上がった
その時視界の隅で2匹の狐が横切ったのを見たが、気の所為だということにして、リンクさんに置いて行かれないようしっかりと後ろに続いた