like it but I hate it
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
霧の濃い朝
目を覚ませばいつもの見慣れた寝室と
顔を覗き込んでくるダーク
「よぉ」
「よぉ…じゃないわよ。何で居るのよ」
「んだよ起こしに来てやったのに」
「余計なお世話よ!」
うら若き乙女の寝室に土足で上がり込んで私が起きるまでずっとまってるこの男
もう記憶に無いくらい昔からの友達…いわば幼馴染みたいなものだろうか
起こしに来たんだったら1言かけなさいよという文句は言ってもどうせ聞きやしない為黙る
彼に聞こえるほどのため息をついて左足からベッドを降り、床のカーペットに足をつけ、スリッパを履く
ゆっくりと立ち上がって振り向くと、図々しくベッドの端に手をついてじっとこちらを見つめてくる
一体何なんだと顔をしかめて睨むつけると
「開いてんぞ」
「何が…」
ダークのジェスチャーで私の寝間着のボタンが3段目程まで開いているのを教えてきた
「見せてんのか?」
「なわけ無いでしょ!というか早く出てけ!」
寝起きでそこまで寝相もよろしく無いのだからこういうこともあるだろう
それに早く着替えたいしという理由でダークを部屋の外へ出そうと肩を押すも、流石に鍛えているダークには敵わなかった
もういいと諦めた私は寝間着のボタンをちゃんとつけてから、寝起きでボサボサな髪を櫛で髪を梳く
たまに向けられるダークの目線を真横から感じながらも無視を決め込んで、さっさとその場を後にしようと寝室の扉に手をかけた
「着替えは?」
「あのねぇ…私だって乙女なんだから恥じらいくらいあるのよ?貴方がこの部屋から出てってくれるなら着替えるわよ」
「それは残念」
この野郎と拳を握り締めたが、圧倒的に力の差がある為自身を落ち着かせるように深呼吸をする
それから
朝食を取ろうか考えた末面倒臭いしそこまでお腹すいてないし朝食はいいやと結論づいて、台所に置いた昨日汲んできた水をコップに注ぎ一気に飲み干した
この間も後ろに彼がビッタリくっついてきていてうざいったらありゃしない
流石にもう帰れよと肘で腹辺りを突けば鼻で笑うような声が耳に入る
「いてぇ」
「うそつけぇ!さっきから鼻で笑ってるの聞こえてるのよ!」
「気の所為だろ」
「はぁ?!」
朝っぱらからなんと腹立たしい奴なのだろうか、それに何時頃からうちにいるのだろうか
そんな事を考えながら今朝届いた新聞を片手に取る
ポストから出してきた記憶は全く持ってないが、多分彼が出してきて机に置いたのだろう
机の前に立ち尽くして新聞を開けばほとんど代わり映えのない記事ばかり
事件なども最近は起こってはいないし、何か面白げのある記事なども載っていない
それだけ平和なのだろうとそっと新聞を閉じて机の上に戻す
平和なのはいいが、こうも平和すぎると中々につまらない
何か代わり映えのあるものはないのかと自身の脳で考えるが特にはない
強いてあげれば後ろをひよこのようについてくる不法侵入者が代わり映えのあるものだろう
「なんだ」
「別に…?この不法侵入者いつ兵士に突き出してやろうかなって考えてただけよ」
「勘弁してくれよ。ただ起こしに来てやっただけだろ」
「私に許可取ってなかったら不法侵入なのよ」
私がほんとに突き出す事なんてしないのを知ってか知らずか冗談めかして笑う彼
私以外にやったら即突き出し案件なのによくやるよ
そう言えば家に鍵をかけていたのに彼はどうやって家に入ったのだろう
本人に聞いて正直に話すならまだいいが絶対正直になんて話さない為聞くだけ無駄だ
玄関を確認してみた所
鍵はちゃんとかかっていて開けた形跡もない
じゃあ何処から入ったんだという疑問は自室に帰った時に晴れた
部屋の窓が開いている
だとしてもだ、私の部屋は2階にあって普通の人間なら2階から侵入するということはしないだろうこいつ以外
だから土足だったのか
「あんた2階までよく登れたわね…」
「このくらい余裕だろ」
「そのフィジカル別のことに使いなさいよ…」
ツッコミどころは多すぎるし幼馴染の家に忍び込むとかイカれてるとしか思えない
まぁでもそんな奴でも一概に嫌いとは言えないのだけれど
「はぁ…」
「?」
「そろそろ私の部屋から出ないとあんたのこと嫌いになるわよ」
「冗談だろ?」
「冗談に聞こえるのかしらー?」
「分かった分かった。着替え終わるまで外で待っててやるよ」
何で上から目線なのよ
そう少し苛立ちながらも彼は「嫌い」そう言えば冗談だろ?と言いながらも従ってくれる
実にちょろい
それに何気に私が彼を好きだって認識があるのがなんとも…事実なのだが
心做しかゆっくり着替えて、し損ねた歯磨きを終わらせるとちゃんと部屋の外で腕を組みながら待ってるダーク
「待った?」
「待った」
「そこは待ってないって言うところでしょうが。だからモテ無いのよ」
「…お前以外にモテたって意味ねぇから」
…
「はぁ?」
こいつ
ほんとになんなのよ、不覚にもドキッとしちゃったじゃない
「冗談」
「やっぱあんたのこと嫌いよ!!!」
好きだけど嫌い
1/1ページ