死神達の楽園

「ふぅ、こんなもんか?」

『ああ、このくらいあれば…』

その時、ピシッと音がして、二人の近くの地面に矢がささった。

「うわ?!」

『敵襲か?!』

矢が飛んできた方向に目を向けると、暗闇でよく見えないが、白い何かが見えた。目を凝らすとそれは骨だった。骨が自立して、弓を構え、矢を放っているのだ!しかもこちらにゆっくりと向かってきている。

『厄介な…!』

そうルチアーノが呟いた後、何かのうめき声が背後から聞こえた。
飛んでくる矢を避けながら背後を確認すると、それは両腕をあげ、よたよたとこちらに向かってくる。
緑の肌に、落ち窪んで黒い目、擦り切れたボロボロの衣服を纏ったそれは、生ける屍だった。

「これ、やばくね…?!」

とサーティーンが焦って言う。

『ああ、非常にな。』

ルチアーノもまた焦っているようだ。

二人とも伊達に戦闘していないので避けることは容易いが、いかんせん数が数だ。こうしている間にも敵はどんどん増えていく。

『このままでは押されろ。簡易的な壁を作るぞ、サーティーン。』

「ああ、わかった!」

二人は自分達を取り囲むように木材で壁を作り始めた。
そうしている間にも敵は押し寄せてくる。

ブロックを急いで置いていく。ルチアーノの肩に骨の魔物の放った矢が掠った。

『くっ…!』

「おっさん、大丈夫か!?」

『ああ、気にするな。』

痛みに顔を顰めるもなお、ルチアーノは作業を続ける。手を止める訳にはいかないからだ。

素早く作業を続け、残すところはサーティーンの目の前一ブロック分の隙間となった。
その時、彼の体に衝撃が走った。

「うっ!」

壁の影に生ける屍がいたのだ。そいつは掴み掛からんとする勢いで迫ってくる。

『サーティーン!』

彼の異変に気が付き、ルチアーノが振り向く。

「こいつっ!」

中に入れるわけにはいかない。サーティーンは一か八かで生ける屍を木材で殴りつけた。
ベチっと音がして、敵が少し後ろに下がった。
その一瞬の隙をルチアーノは見逃さず、最後の隙間を素早く埋めた。

『なんとかなったか…』

「危なかったぜ…」

ルチアーノとサーティーンはホッと一息ついた。
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