死神達の楽園

『ひとまず、拠点を作るのが先決だな。』

と、ルチアーノが言う。

「え、拠点?」

と、サーティーンが問う。

彼は拠点について分かっていないようだ。
野営というものを経験したことがないであろうから無理もない。

拠点について、ルチアーノが説明する。

『サバイバルをするにあたって、必須になる仮の拠点、言わば家の事だ。
家がないと俺たちは何も出来ないし、身を守れる物もないだろう?』

いつもより少し饒舌に、淡々と説明する彼にサーティーンは驚きながらも問うた。

「んで、拠点が必要なのは分かったが、それを建てるのに、何がいるんだ?」

その問いに対してルチアーノは顎に手をあてて、

『……こんな砂漠の真ん中に建てても不便極まりない。場所を移動するのが先決だ。』

と答えた。

砂漠を抜けて、少し歩くとサバンナに出た。
海も近くに見える。
ブタやウシ、ヒツジらしき生き物もいる。

ルチアーノが歩みを止め、言った。

『ここが生活に適しているだろうな。』

その場所は、少し高台になっていて、見晴らしがいい。
近くには村と思しき建物もある。

村の中に建てればいいのにとサーティーンは思ったが、そこで彼はルチアーノの職業を思い出した。

彼の職業は殺し屋だ。

常に命を狙われてる可能性がある環境でずっと過ごしてきた。
なので、こういった環境で警戒するのは当然と思っているのであろう。
何が起こるかわからないからだ。
だからあえて見知らぬ土地で周りに何も無い所に家を建てる選択をしたのだ。
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