気がついたら、辺り一面四角の世界に佇んでいた。
ここが今日からサバイバルをするという世界か…。
Voidollに言われるがままに転送されたはいいが、勝手が分からないと、何も出来ないのが困ったものだ。
愛用している銃を探そうと、ふと手元に目をやると、自身の体も四角で構成されていることに気がつく。
そして、肝心の銃は、無かった。

『困ったものだ…。』

やれやれと頭を抱えていると、遠くからかすかに声が聞こえてきた。

「………のやつ、……って！！……」

遠くてよく聞こえなかったが、それはどこか聞き覚えのある声だった。

『私の他にも誰かがいるのか…。』

彼はそうつぶやき、声のする方向に向かった。

しばらく歩くと、砂漠であろう地帯の真ん中に、黒い人影が見えた。
辺り一面砂一色なため、見つけることは容易かった。

彼の姿に既視感があったが、確証は持てない。
近づいて恐る恐る声をかけてみる。

『サーティーン…か？』

「うわっ誰だ！！！…え、ルチアーノの…おっ…さん！？
おっさんも転送されてたのかよ！」

とサーティーンが言う。

『ああ。サバイバルの摂理を解析したいとか言われてな。唐突な話ではあったが、拒否権がなかった。』

と、ルチアーノがやれやれと言った感じで答えていたが、彼の口元には微かな笑みが浮かんでいた。

サーティーンは、内心ルチアーノがワクワクしているのではないかと感じたが、あえて口には出さないでおいた。