運命の交わる時

『そうなのですか!』

「ほら、あそこに一人いるでしょう?」

sirutoが示した方向に、碧く光る精霊の魂があった。
精霊の魂は、その精霊が一番思い出に残っている場面や、性格などを色濃く反映している。
その記憶をたどり、この地の呪縛から星の子の光と祈りの結晶、胸の内の[#ruby=炎_ほむら#]を使い開放し、彼らが生きたうちの中で強く感じた感情の加護を貰い受けるのだ。
その感情の加護はエモートと呼ばれ、普通の感情表現と違い特殊な力を持つのだ。その特殊な力は特殊な仕掛けを解くのに役立つこともある。

一連の流れを聞いて、解放の仕方がわかったirisは

『よし、やってみます!』

と言って魂のそばに駆け寄り火を灯した。
すると、ぼんやりとしていた精霊の姿が一筋の光となり、irisを記憶の元へと導いた。

順々に光を辿ると、闇の石を纏った石の体があった。
そこに先ほどまで記憶を導いた光が吸い込まれていった。

「キャンドルをかざして。」

とsirutoがirisに促す。
彼女がキャンドルを掲げると、パキパキと音がして石が剥がれ、精霊の魂が解放された。
彼は指をさして、方角を伝えているようだ。

そうして彼は光に溶け込むように消え、残った魂は大神殿へ導かれた。

『解放、できたのかな…?』

とirisが不安げに呟く。

「ええ、後は大神殿に赴いて祈りを捧げるだけよ」

とsirutoは頷いて言った。

「ああ、それと、もうあそこ通れるようになっているはずよ?」

sirutoが先ほどまで通れなかったところに顔をむけて言った。

『行ってみます!』

とirisは走って向かった。
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