運命の交わる時

初めから手を引いて連れて行くこともできる。しかしそれだとirisが今後一人で使命を果たす時に困るだろうと、sirutoはあくまで進む方向を助言するだけに止めようと思った。

(あと…私が教えられることは…)

基礎的な飛び方や進む方向の確認の仕方、精霊解放、大人数で解く仕掛け、羽の回復の仕方など。課題は山ほどある。これから忙しくなりそうだと彼女は思った。

「iris、普通に喋るのではなく、光の力を使った声を出すことはできるかしら?」

『できますよ!』

「それを使うと神殿の光が呼応して、進む方向を示してくれるし、強く鳴くと付近に光の生物がいたときに羽を回復してくれるのよ」

『光の生物?』

「そこに光り輝く蝶がいるでしょう?あれが光の生物よ。蝶は飛んできて回復してくれるから覚えておくといいわよ」

『へぇ!』

「早速光の声を使って方向を見てみたらどう?」

何事も実践あるのみだ。知識だけでは役に立たないことが多々ある。
irisが光の声で鳴くと、神殿の方角に光の柱が立った。

『あ!あっちですね!』

嬉しそうにかけていくiris。

『あ!光の子!』

どうやら交信ポイントを見つけたようである。

『わーい!』

「あっ!そこには!!」

『……痛っっっったい!!!』

なんと、半透明な壁があったのだ。

『えぇ!?壁!?通れないじゃん。』

irisが困ったようにこっちを見た。

「あなたの身体には、まだ精霊の加護がないからここは通れないのよ。先に進むためには精霊の魂に刻まれた記憶を追体験し、大神殿へと導かなくてはならないわ。」
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