双星の使者
最後の方は意識が朦朧としていて覚えていないが、無事全ての羽を配り終えたようである。
真っ暗な所を堕ちて行く感覚で、shirutoは意識を呼び起こした。背中が地面に着いた感触がした。
あれだけ激しく石の雨に打たれたにも関わらず、身体に痛みはない。実体なき魂の特権だろう。
ゆっくりと起き上がり、あたり一面の闇の中に白く浮かび上がるように置いてある、自身の器の所まで歩く。
またよろしくね、の気持ちを込めて器の手を引いて起こし、そっと抱きしめる。
魂のみの自身の身体を器が覆っていくのを感じる。
こうして自身の姿を取り戻したsirutoは、天空に向かって羽ばたいて行くのだった。
美しく、荘厳な雰囲気のする天空への道。
sirutoはirisのことをずっと考えていた。
天空までの道は一方通行な上に通路がひとつしかないのにも関わらず、迷子になってないか気がかりになってしまったり、光が豊富にあり、羽が尽きる心配がないのに、羽ばたきすぎて羽が尽きて何処かで座ってしょんぼりしてないかなどを考えてしまう。
(私も随分と絆されたものですねぇ...ふふっ。)
我ながら過保護すぎると苦笑を禁じ得ない。
遥か彼方に地上を見下ろして、上へ上へと導かれるままに飛んで行く。
何度見てもここの光景には胸を打たれる。
先祖の精霊達も毎度の如く私を祝服しながら共に飛んでくれる。
いつもはそれだけで使命をやりきったと満ち足りた気分になるのだが、今は少し寂しい。
こんな気分は初めてだ。
転生の門に続く道に着いた。無念のまま散っていった同胞の魂は、無事導きを受け、星に還ることが出来たようだ。あとには魂たちの悦びがつまった光が残る。その光を収集し、星のキャンドルが錬成される。
そして、先へ進もうとした時、思いもよらないことが起きた。
『siruto.......!!!』
なんと、少し先にirisが座っていたのだ。
呆然と目の前のirisを眺める。
「iris.......?」
吸い寄せられるように走って彼女の元に向かう。
「まさか...ここでずっと待っていたの?!」
『え、すぐだったよ?ちょっとボーッとしちゃってたらsirutoがきた。』
「………そうなの?」
俄には信じられないような内容だ。しかし、キョトンとして答える彼女は嘘をついているようには見えない。
本来は、この地の記憶を垣間見ている間、莫大な時間が流れていたが、そんなことは知る由もない。
「……………何にせよ、これで一緒に転生ができるわね。」
sirutoは目に涙を浮かべながらそう言った。
『うん…!』
irisも感極まってsirutoに飛びつきわんわん泣いた。
空を見上げながら、sirutoは腕の中で泣きじゃくるirisの頭をsirutoは優しく撫でた。
星の子の魂が作り出した特殊なキャンドルを使い、羽のチカラを精霊から貰い受ける。
sirutoはirisをおんぶし、ともに転生の門に向かった。
荘厳な鐘の音が響き、羽のチカラを解放した先祖の精霊が二人に羽を贈る。
そうして
二人は祝福を受け、新たな[#ruby=命_しめい#]の扉をくぐったのだ。
流れ星。古の人は、それは願いを聞き届けるもの、神の使者として祈りを捧げていた。
その光は皆を希望へと導く。
今、二つの[#ruby=流れ星_ししゃ#]が新たな使命を受け、地上に降り立った。彼女らは双星の使者。迷える魂を導く者。記憶を紡ぎ、この世界の未来を造る者。
二人の旅は、今再び始まるのだ。
〜つづく〜
真っ暗な所を堕ちて行く感覚で、shirutoは意識を呼び起こした。背中が地面に着いた感触がした。
あれだけ激しく石の雨に打たれたにも関わらず、身体に痛みはない。実体なき魂の特権だろう。
ゆっくりと起き上がり、あたり一面の闇の中に白く浮かび上がるように置いてある、自身の器の所まで歩く。
またよろしくね、の気持ちを込めて器の手を引いて起こし、そっと抱きしめる。
魂のみの自身の身体を器が覆っていくのを感じる。
こうして自身の姿を取り戻したsirutoは、天空に向かって羽ばたいて行くのだった。
美しく、荘厳な雰囲気のする天空への道。
sirutoはirisのことをずっと考えていた。
天空までの道は一方通行な上に通路がひとつしかないのにも関わらず、迷子になってないか気がかりになってしまったり、光が豊富にあり、羽が尽きる心配がないのに、羽ばたきすぎて羽が尽きて何処かで座ってしょんぼりしてないかなどを考えてしまう。
(私も随分と絆されたものですねぇ...ふふっ。)
我ながら過保護すぎると苦笑を禁じ得ない。
遥か彼方に地上を見下ろして、上へ上へと導かれるままに飛んで行く。
何度見てもここの光景には胸を打たれる。
先祖の精霊達も毎度の如く私を祝服しながら共に飛んでくれる。
いつもはそれだけで使命をやりきったと満ち足りた気分になるのだが、今は少し寂しい。
こんな気分は初めてだ。
転生の門に続く道に着いた。無念のまま散っていった同胞の魂は、無事導きを受け、星に還ることが出来たようだ。あとには魂たちの悦びがつまった光が残る。その光を収集し、星のキャンドルが錬成される。
そして、先へ進もうとした時、思いもよらないことが起きた。
『siruto.......!!!』
なんと、少し先にirisが座っていたのだ。
呆然と目の前のirisを眺める。
「iris.......?」
吸い寄せられるように走って彼女の元に向かう。
「まさか...ここでずっと待っていたの?!」
『え、すぐだったよ?ちょっとボーッとしちゃってたらsirutoがきた。』
「………そうなの?」
俄には信じられないような内容だ。しかし、キョトンとして答える彼女は嘘をついているようには見えない。
本来は、この地の記憶を垣間見ている間、莫大な時間が流れていたが、そんなことは知る由もない。
「……………何にせよ、これで一緒に転生ができるわね。」
sirutoは目に涙を浮かべながらそう言った。
『うん…!』
irisも感極まってsirutoに飛びつきわんわん泣いた。
空を見上げながら、sirutoは腕の中で泣きじゃくるirisの頭をsirutoは優しく撫でた。
星の子の魂が作り出した特殊なキャンドルを使い、羽のチカラを精霊から貰い受ける。
sirutoはirisをおんぶし、ともに転生の門に向かった。
荘厳な鐘の音が響き、羽のチカラを解放した先祖の精霊が二人に羽を贈る。
そうして
二人は祝福を受け、新たな[#ruby=命_しめい#]の扉をくぐったのだ。
流れ星。古の人は、それは願いを聞き届けるもの、神の使者として祈りを捧げていた。
その光は皆を希望へと導く。
今、二つの[#ruby=流れ星_ししゃ#]が新たな使命を受け、地上に降り立った。彼女らは双星の使者。迷える魂を導く者。記憶を紡ぎ、この世界の未来を造る者。
二人の旅は、今再び始まるのだ。
〜つづく〜
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