双星の使者

数多の星々が美しく輝いている。その一つ一つが笑っているようだ。
助け出した星の子の魂は無事星へと還った。
これで一件落着だ。

ほっと一息つく。
あとは転生するだけだ。
あそこの門をくぐれば、sirutoとはもう会えないかもしれない。
意を決して歩き出そうとすると、周りの空気が変わったように思えた。

あ、あの時の…
捨てられた地で感じたあの感覚だ。


時が止まった、モノクロのようなそんな感覚。


不思議と頭が冴える。そして理解する。
これは、この場所が持っている記憶だ。
この状況を飲み込んだことに少し困惑するも、変わり続ける風景を眺める。

ここを通り、何千、何万もの星の子が転生した。ある者は一人で。また別の者は仲間と共に。
皆、門に向かって一直線に進んでいく。笑顔、もう一度使命を果たせるのかという不安、さまざまな感情が垣間見える。

何度生まれ変わっても、また同じ星のもとで逢いましょう。

そんな言葉が聞こえてきた。
来世でも、運命を共にするという言葉だ。


素敵だなぁ、と思った。
はたと立ち止まる。


記憶の残滓が見せる情景の中の星の子たちに、見た目は全然違うのに、纏う雰囲気が同じ者がいた。

二人で一つ。そんな感じだ。

irisは思い立つ。
あぁ、やっと分かった。あの時、孤島で味わったあの感覚。はじめて会ったのに、これが初めてでは無い感覚。ずっと探していた、片割れに出会った感覚。
涙が自然と頬を伝う。


siruto………。


その声は虚空へと消えていった。


星の子は、一つの星の加護を受けて生まれ落ちる。
しかし、偶に一つの星から、二人の星の子が生まれ落ちることがある。
それが生まれ落ちるのは、同時であったり、そうでなかったりする。
どちらにせよ、その二人は惹かれあう。互いに。



私は感動に打ち震えた。










はっと顔を上げる。いつの間に座っていたんだろう。
そもそも私、立っていたっけ?
なんだか頭がふわふわする。
長い夢を見ていたみたいに。
なんだったんだろう。
内容はほとんど思い出せない。そのうちぼんやりと霞んでしまった。
まあいいか。忘れるってことは、大したことないんだよ!きっと!

向こうから、誰か歩いてくる。
あれは…!
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好き♡