双星の使者
とうとう原罪の手前に着いた。
長いようで短い旅だった。
使命を果たすために向かうはずの道程は、仲間が居るとこんなに楽しくて濃いものなのかと改めて実感させられる。
『siruto、ここまで連れてきてくれてありがとう!』
「.....無事にここまでこれてよかった。途中心が折れかけた時もあったけれども、貴女がいてくれたおかげで乗り越えられたわ。」
『そんな、私は何も...』
と言うirisの頭をポンポンとなでる。
「貴女の笑顔は人を幸せに出来るのよ。ここまで旅が出来て本当に良かった。」
irisの表情がパァっと輝く。
「.....でもね、iris、落ち着いて聞いて欲しいの。」
『.....どうしたの?改まって...。』
irisが不安そうな顔をして私を見上げる
「貴女はまだ使命を一度も果たしたことがない。私と羽の枚数が大きく違うの。だから貴女の方が先に天空へと導かれるのよ...。天空の時間の流れはこことは違う。そのため一緒に転生はできないと思ってちょうだい。」
天空の時間の流れは、地上よりとても遅い。少しでも転生の門をくぐるのにタイムラグが発生すると、地上では何ヶ月も経過していることが多々あるのだ。
彼女に長い間待たせるわけにはいかない。
raimu先輩との時は、先輩が星詠みであったお陰で、再び導かれるように出会えたが、私にそのチカラはない。広大なこの地での再会は難しい。探そうにも時間がかかるだろう。
『そうなんだ.......。』
一連の流れを聞いて、irisは辛そうな表情をしたが、納得したようだった。
嫌だ、などと我儘は言えない。使命だからだ。
sirutoも同じ考えだった。別れは嫌だ。
「大丈夫。きっとまた縁が私たちを繋いでくれるわ。」
『.......うん。』
少し寂しそうなirisの頭を撫でて、不安を振り払うように明るく言った。
絶対にまた会ってみせる、とでもいうようなsirutoの顔を見て、irisは安心した。
「さぁ、私たちの使命を果たしましょう。」
『わかった!』
irisも決意を固めたようだ。
そうして二人は原罪へと足を踏み入れた。
暴風吹き荒れる死の岩が降り注ぐ地、原罪。
飛んでくる岩に当たればひとたまりも無いだろう。
shirutoはirisの手を強く握って、irisを石の子の元へ導いた。
二人とも自身の中の光の力をもぎ取るようにして渡していく。
真剣に、sirutoはirisを誘導する。
回復を切らさず、できるだけ多くの子にチカラを渡せるように。
灯篭の方に必死で手を伸ばすようにして力尽きた星の子。
もう全てを投げ出したかのように転がっている星の子。
他の子を庇うように石になっている星の子。
抱き合うようにして倒れた星の子。
ここには様々な旅の果ての軌跡がある。
毎回、尽きゆく自身の命について考えさせられる。
(行く先は皆、同じなのに、何故、それぞれ違った感情を抱いているのだろう……。)
sirutoはirisを導き、時に庇いながらそのような事を考えるのだった。
(irisは、この使命について何を思っているのだろう……。)
彼女の真剣な顔から、読み取ることは出来なかった。
幾分かが経過して、irisは自分の使命を全うしたようだ。
羽を全て配り終えた彼女は無言で膝から崩れ落ち、石の姿へ変わり果てた。
絶望満ちるこの原罪で、彼女のそれは、穏やかに見える最期であった。
使命を終えた彼女の魂は天空へと誘われ、再び使命を得て転生するのだろう。
「また、来世で会えるといいわね...」
とsirutoは呟き、自らは身体を蝕む石の雨降る原罪の奥へと独り歩みを進めた。
長いようで短い旅だった。
使命を果たすために向かうはずの道程は、仲間が居るとこんなに楽しくて濃いものなのかと改めて実感させられる。
『siruto、ここまで連れてきてくれてありがとう!』
「.....無事にここまでこれてよかった。途中心が折れかけた時もあったけれども、貴女がいてくれたおかげで乗り越えられたわ。」
『そんな、私は何も...』
と言うirisの頭をポンポンとなでる。
「貴女の笑顔は人を幸せに出来るのよ。ここまで旅が出来て本当に良かった。」
irisの表情がパァっと輝く。
「.....でもね、iris、落ち着いて聞いて欲しいの。」
『.....どうしたの?改まって...。』
irisが不安そうな顔をして私を見上げる
「貴女はまだ使命を一度も果たしたことがない。私と羽の枚数が大きく違うの。だから貴女の方が先に天空へと導かれるのよ...。天空の時間の流れはこことは違う。そのため一緒に転生はできないと思ってちょうだい。」
天空の時間の流れは、地上よりとても遅い。少しでも転生の門をくぐるのにタイムラグが発生すると、地上では何ヶ月も経過していることが多々あるのだ。
彼女に長い間待たせるわけにはいかない。
raimu先輩との時は、先輩が星詠みであったお陰で、再び導かれるように出会えたが、私にそのチカラはない。広大なこの地での再会は難しい。探そうにも時間がかかるだろう。
『そうなんだ.......。』
一連の流れを聞いて、irisは辛そうな表情をしたが、納得したようだった。
嫌だ、などと我儘は言えない。使命だからだ。
sirutoも同じ考えだった。別れは嫌だ。
「大丈夫。きっとまた縁が私たちを繋いでくれるわ。」
『.......うん。』
少し寂しそうなirisの頭を撫でて、不安を振り払うように明るく言った。
絶対にまた会ってみせる、とでもいうようなsirutoの顔を見て、irisは安心した。
「さぁ、私たちの使命を果たしましょう。」
『わかった!』
irisも決意を固めたようだ。
そうして二人は原罪へと足を踏み入れた。
暴風吹き荒れる死の岩が降り注ぐ地、原罪。
飛んでくる岩に当たればひとたまりも無いだろう。
shirutoはirisの手を強く握って、irisを石の子の元へ導いた。
二人とも自身の中の光の力をもぎ取るようにして渡していく。
真剣に、sirutoはirisを誘導する。
回復を切らさず、できるだけ多くの子にチカラを渡せるように。
灯篭の方に必死で手を伸ばすようにして力尽きた星の子。
もう全てを投げ出したかのように転がっている星の子。
他の子を庇うように石になっている星の子。
抱き合うようにして倒れた星の子。
ここには様々な旅の果ての軌跡がある。
毎回、尽きゆく自身の命について考えさせられる。
(行く先は皆、同じなのに、何故、それぞれ違った感情を抱いているのだろう……。)
sirutoはirisを導き、時に庇いながらそのような事を考えるのだった。
(irisは、この使命について何を思っているのだろう……。)
彼女の真剣な顔から、読み取ることは出来なかった。
幾分かが経過して、irisは自分の使命を全うしたようだ。
羽を全て配り終えた彼女は無言で膝から崩れ落ち、石の姿へ変わり果てた。
絶望満ちるこの原罪で、彼女のそれは、穏やかに見える最期であった。
使命を終えた彼女の魂は天空へと誘われ、再び使命を得て転生するのだろう。
「また、来世で会えるといいわね...」
とsirutoは呟き、自らは身体を蝕む石の雨降る原罪の奥へと独り歩みを進めた。