双星の使者

「ここに火を灯して扉を開けるのよ。」

『うん……。』

sirutoはirisを仕掛けの前に導いた。

五つの仕掛けに一つ一つ火を灯していく。
光の線が、真ん中の丸い部分に伸びていく。
全て灯す事ができると、扉が開かれた。

階段を登る。ここの時点で既に風が強い。
少しでも気を抜くと飛ばされて転がっていってしまうだろう。
ちょっとした地面の窪みも飛び越えづらく、落っこちてしまいそうだ。上に上がるだけで一苦労だ。
目の前に山道が見える。時折風で岩が飛んでくる。

「タイミングを見て素早く歩いていくのよ。慌てて飛び上がってしまったりすると吹き戻されて岩に当たってしまうから、慎重にね。」

『分かった。』

sirutoは今後irisが一人で行くことも考えてアドバイスする。

岩が止んだ瞬間、素早く歩いていく。かなりギリギリだった。irisの後ろを岩が轟音を立てて転がっていく。

「危なかった…。」

irisに当たらなくてよかったとsirutoは安堵した。

もう一つの岩が飛んでくる場所は難なく越えられた。
少し開けたところに出る。顔を袖で覆ってしまうほど、風や塵が仮面に当たるのが感じた。

ここは、風が弱まるタイミングで岩と岩の隙間を飛び越える。
これが慣れるまでなかなか難しい。

さっと越えて段差の大きい坂道を登った。登るのも、風が邪魔をして一苦労だ。

崖の上に出る。道幅が狭い上にさらに風が強い。

『うわぁ!飛ばされちゃうよ!』

「しっかり手を握って!」

『うん!』

一歩一歩進んでやっとこさ建物の入り口に入る。

『着いたぁ…疲れた…。』

irisは光の子を救出する。

「……ここからが本番よ。」

『…えーーー!』

建物の中にirisの悲痛な叫びが響き渡った。
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