『なにこれ？』

彼女が何かを見つけたようだ。

「ああ、これは蝕む闇よ。」

『闇！？』

「蝋燭を近づけると溶けるわよ。」

sirutoはそう言って実践してみせた。
本当に溶けるように消えていく。

『こんなに簡単に消せるんだ…。』

「これは小さいものだからよ。大きいものだと二人以上で焼かないと、溶かすのは難しいわね。」

『そうなんだ！』

あちこちにある闇を溶かしながら進む。
途中、蝕む闇を溶かすと、通路が現れるところがあった。光の子がいたり、精霊がいたりした。

精霊がいたところに見慣れない生物がいた。

それは甲高い鳴き声をあげながら突進してきた。

『うわっ！』

「iris！」

sirutoがirisの腕をひっぱったおかげで衝突は免れた。

その後間髪入れずにsirutoが光のチカラを込めた声で大きく鳴く。

すると、その生物は逆さまに転げた。

『なにこれ…。』

起きあがろうとしているのかジタバタと脚を忙しなく動かしている生物。
明らかにこちらを標的にして突っ込んできていた。

「あれは闇の生物よ。闇のカニっていうの。」

『闇の生物…。カニ…。』

「蝕む闇と同じで、光を喰らうことで生きている生物よ。」

『そうなんだね…。』

「あの衝突を喰らっていたら、光のチカラを少し奪われていたわよ。」

『危なかった…。siruto、ありがとう！』

「どういたしまして。カニは強い光のチカラを外から当てられるのに弱いから、見つけたら光のチカラを込めた声で大きく鳴けばいいのよ。」

『おっけい！わかった！』

「さあ、脅威は無くなったから精霊の魂を解放しましょう。」

『はーい！』

その精霊は、irisと同じような髪型をしており、かくれんぼ上手だった。
さまざまなところを見て回るのが好きだったようだ。
冒険のとても楽しい気分をお裾分けしてもらい、大神殿へ魂を送り届けた。