陽だまりの中で

sirutoはirisを大神殿の上にいる光の子の元に連れて行った後に、中へとへと向かった。

無数のツボが周囲に積み上げられた祭壇があった。
三本の蝋燭がある。そこに火を灯し、祈りを捧げた。


irisの前に祭壇と同じ大きさの三本の蝋燭がある。
その向こう側に、山のように大きい精霊がツボを抱えて横たわっている。草原の大精霊だ。
大精霊は、ツボを少しどかし、起き上がると大きく伸びをしてこちらを向いた。
そして蝋燭に近づくと、その光を丁寧に掬い上げた。その光を持ったまま手を胸の前にやる。すると、孤島の時と同じように、精霊の服に輝きが増した。

irisの目線まで顔をさげ、大事そうに大きな手で光を包む。
するとそれは光り輝く蝶に変化した。

その蝶を大きなツボに入れ、キャンドルがあった台座の上にドスンとおく。
そこが定位置なのだろうか。

irisの意識が現実に引き戻されていく。

祈りの間にパァっと光が灯り、周囲のツボから光の蝶が溢れる。

『綺麗!』

「このツボは光を運ぶためのものだったのかしらね…。」

『光を運ぶ…』

本当の用途は私たちには知り得ない。ただわかるのは、ツボがなんらかの用途で使用されていた、ということのみなのだ。
その先は想像でしかない。

「この蝶たちが上まで連れてってくれるわよ。光のチカラの声で大きく鳴けば、蝶たちが来てくれるはず。」

そう言っている間にもirisは蝶だらけになっていた。そこらかしこに蝶が止まっている。

「……本当に人気なのねぇ。」

sirutoはやれやれと、しかし優しげな顔で首を振り、irisと手を繋ぐと、光のチカラの声で大きく鳴き、蝶たちは二人を上の方にある道に連れていった。
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