あの日の約束

それから、幾日かが過ぎた。
そのかん、あまり強くない闇の噴出もあった。
それは、浄化と同時に消えていくもので集めるには向いていなかった。

《やはり皆、戸惑っとるようやな……。》

ホームに舞い戻ると、そこにいる星の子達が何やら話しているのが見える。
大体話題は同じであった。

闇の降ってくる時間は多少のズレはあるものの、大体同じ周期だ。今日もまた観察をしに草原の休息エリアと向かった。

原罪の方面を眺めていると、強い揺れとともに、ものすごい風圧の突風が吹いた。

《この感じは……あの時と同じ!》

急いでホームに舞い戻ると、今度は書庫への扉が闇に侵蝕されているのが見えた。

《今度は……書庫。》

書庫への扉を走ってくぐり抜けようとすると、不意に声をかけられた。

【crals様。】

《etio、toura!》

{あのさ、無理を承知でお願いしたいんだけど、あたし達も連れて行ってもらえる……?}

cralsは少し考えてから言う。

《…………危険やぞ?》

{うん、それは分かってるんだけどさ、どうしても王国の危機には黙っていられなくて……。}

《王国……確かにそうやな。》

【toura様は背中に乗っていて頂けると幸いです。】

{危険なことしないって約束するから!}

《……約束やで?さすがにかばいきれんからな?》

【toura様は自分が命にかえても護りますのでご安心を。】

《いやいやいや、さすがにそこまでは放っておかんからそんな事にはならんと思うけどな!》

【ありがとうございます。】

{ひゅー!etio頼もしい!}

《よし、行くで!》

三人はゲートをくぐりぬけて書庫へと向かった。





《…………で、どこに降ってくるん?天井突き抜けるとか……無いよな?》

【予測は出来ないので有り得るかと。】

《怖っ!》

{ねぇ、まずは星月夜の砂漠行かない?}

《ああ!あそこなら闇が降る瞬間も見れるな!》

そう言って抜け道を通り外に出る。

するとちょうどその時、様々な星を旅した王子がいたエリアに闇が堕ちてきた。

《このエリアのどこかに降りそうやな……大体ここの隣か!屋根突き抜けるとかにならんくて良かった……。》

雲のトンネルを潜って飛んでいく。




赤色の空が拡がっている。
なかなかに禍々しい。

《前代未聞やもんな…。それにしても書庫にまで降ってくるとはな…。》

そう言いながら遠くの闇を眺めた。

【ここは書庫と言っても建物からは出ています。】

《まあ、せやな。》

{わぁ!降ってくる!}

touraが興味津々というようにetioの肩から降りた。

【いけませんtoura様!】

闇は容赦なく暴風とともに堕ちた。




轟音が響き、辺りに風が吹き荒れる。

《うわっ!》

まずいと思い身構えたが時すでに遅し、touraが吹き飛んでくるのが見えた。

《ごっ……ふ!》

思いっきりtouraの頭がcralsのお腹にぶつかる。
そのままバランスを崩し、二人でゴロゴロと砂の上を転がった。
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