touraは記憶に入り、辺りを見回す。
同じく辺りを見渡すsirutoとcralsが居た。

「touraさん！」

sirutoがtouraに気が付いて声をかける。

「今、目の前に見えている精霊のように光っている二人について話していたんです。」

そうsirutoが言う。
片方は昔のraimuであることは間違いないそうだが、もう片方の人が誰だか分からないのだそうだ。

raimuは縁を大事にする。なのですぐに友達や知り合いを紹介したがるので、知らない人がいることに二人は驚いていた。

{なるほどね……これは何かありそうね。}

touraは腕を組んでそう言った。

{精霊の記憶を呼び起こす時と同じようにすれば記憶が見れるわよ？}

そうtouraがアドバイスした。

《よし、やってみるか。》

cralsが近づいて火をともす。

すぅっと光が飛んでいき、少し先に幻影が現れる。

raimuの表情は険しいのに対し、相手方の子、桜のツインテールの子の表情は無関心そうであった。

「これは…言い争いでしょうか……。」

sirutoがぽつりと言った。

幻影に触れ、さらに進む。

次の幻影は、映像付きであった。

［なんでそんなこと言うのさ！］

raimuの叫ぶ声が聞こえる。

''別に。そう思ったから言っただけ。なんでもいいでしょ？''

かなり無神経な事を言った気がするが……。桜のツインテールの彼女は気がついているのだろうか。

ふとraimuに目をやると、顔を下に向けている。
くやしそうに口を引き結んでいるのが分かる。
手がほんの少し震えていた。
raimuが顔を上げた。
その顔には、先ほど下を向いていた時にしていた表情は、もう無かった。

《raimu、辛いことを我慢している顔やった。一体何があったんだ……。》

これはsirutoはもちろん、彼も知らない事であった。
長年を共にし、raimuの事ならなんでも知っている気になっていた。
しかし、まだまだ甘かったようだ。