あの日の約束

{早速持って帰ろう。}

『早い方がいいもんね!』

皆はその場で祈ってホームへ舞い戻り、書庫へと向かった。

いつものように、現像する。

“晒されるは断崖絶壁
見えぬ亀裂は 虚しく散じゆく
星々の重みは遠大に
光へ 闇へ
全ての記憶を掻き抱き
砕ケル最期 その刹那”

この様子からして、精霊たちは滅びに対する対抗手段を何一つ用意できていなかったのでは無いかと推察される。

その瞬間は、唐突にやって来て、何もかもが破滅してしまった。

そんな様子だ。



{やっぱりそうね……これは追憶だわ。}

記憶を見たあと、touraはそう言った。
今までの出来事後が全て線で繋がる。

闇はずっと示してくれていた。

これは全て記憶の窓。
この地にかつて存在した生きとし生けるものの魂の叫びである。
cralsと雨林の闇を焼いた際に彼が体験したという過去の場面。そこから仮説を立てていたが、やっと確信にたどりついた。
これが答えだ。

闇は何も物質的な物だけでは無い。
心にも闇は現れる。
それはいずれ病みにかわり、身体をも蝕むのだ。

身体の闇を取り除くには、深く結びついた心の病みを取り除く必要がある。

『ついおく?』

irisが首を傾げる。

{あたしたちは今、記憶の中の災害に干渉してそれを浄化することで、光の生物たちの魂を救出しているの。だからね、raimuさんの記憶を足がかりに同じ事ができないかなってずっと考えていたの。でも確証がなくて……今回の事でハッキリしたわ。この方法は、使える。}

「本当ですか!」

sirutoがぱぁっと顔を輝かせる。

《王国は、何も対策が講じられていなかったように見えるな。だから唐突な滅びに対抗出来なかったんや。》

【そうでしょうね……。】

《だか、少なくとも、俺たちは違う。》

{この為に……必死で用意してきたの。だからいけるわ!}

【では……参りましょうか。raimuさんを助けに!】

「『《{おー!}》』」
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