あの日の約束

書庫に着いた。
etioがサッと記憶の再生機材を持ってくる。
映像が流れ始める。

“思い募れど呼び声遠く
響きへの応えは痛いほどのしじま
在りし日の面影も今やいずこ
千々に散りゆく空っぽの光”

今回の記憶はかなり静かだ。
時折虚しく響く鯨の声は、助けを求める声か、それとも苦しみの断末魔か。

所々光が散っている様子が伺える。
ほとんど光の生き物がいなくなってしまったのだろうか。

『なんだか寂しい……。』

「ええ、静かすぎるわ。」

《呼び声も……何も届かなくなってしまった……ってことか。》

王国に様々な天変地異があったのだろう。
この地の惨状を見れば想像にかたくない。

「はっきりとした解決方法はありませんでしたね……。」

《ああ……ここまで無いとなるとなかなか来るものがあるな。》

cralsは焦ったように頭を抱えた。

その傍でずっと黙って考え込むtoura。
そして真面目な顔で

{……あのね、少し考え事をしたいの。なにか掴めたかもしれない。}

と言った。

「なにか?」

sirutoが聞く。
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