あの日の約束

街道を飛んでいく。
いつもより星の子が多い。
みな焦って飛んでいるようだ。

【……もしかして。】

etioが呟く。

《ああ、かもな。》

cralsはetioの呟きに答えながら峡谷の入口へと入った。

雲のトンネルを抜ける。





すると眼前に蝕む石が!





《うわぁっ!?》

cralsは咄嗟に横に避け、少し離れたところに着地する。

{危なかった……。}

touraがetioの顔に腕をしっかり回して抱きつきながら言う。

【toura様、前が見えません。】

{あっ、ごめんetio!}

touraがパッと腕を解く。

《やはりここか。》

「皆さん街道に逃げてきていらしたのですね。」

『危ないもんねぇ……。』

{こんなことに首を突っ込む者は目的があるか余程の物好きだけよ。}

【同意ですね。】

皆もうんうんと頷く。

「どこから焼きますか?固まった方がもしもの時に助けやすいと思いますが。」

《ああ、いい案やな、とりあえず真ん中から順に焼いていこう。蝕む石が全範囲に飛んでいるから厄介やな……。》

『前はこんなの無かったよね……?』

irisとsirutoは今回二回目の参加。そして空飛ぶ蝕む石は以前焼いた時は無かった。
初めて空飛ぶ蝕む石が出た雨林はetioは不参加であった。
なのでこの三人は対処が分からない。

《おんぶの下に居る者が蝕む石の軌道を見て動かんと上の者が吹き飛ぶから注意な。上にいる者は白いキャンドルで回復援護や。》

「なるほど……自身の頭の位置と違うので難しいですね……。」

【toura様を傷つけるような真似はしたくないので頑張ります。】

『サポート!頑張る!』

{回復はこのあたしに任せなさい!}

cralsは皆に視線を合わせながら、

《俺は単体で動く。援護が必要な時は叫ぶなり呼ぶなりして知らせてな。》

と言った。
皆それに頷いた。

《よし、行くで!》

その号令を皮切りに真ん中の蝕む石に向かって走る。
轟音を鳴らしながら皆のそばを蝕む石が掠める。



真ん中は何とか焼き終えた。



《次は右上や!》

【分かりました。】

次に右上に移動する。
蝕む石を背に生やした闇のカニが容赦なく襲いかかる。

cralsは大きく光に呼びかけ、できるだけ多くのカニの注意を引く。

「後ちょっと!」

sirutoはここで欲張った。
素直に避ければ良かったのだが、もう少しで焼き終えるという気持ちが優先し、焼き終えてからギリギリで避けた。
しかしその避けた先にも蝕む石が飛んできていたのだ。

「きゃあ!?」

身体の側面を強い衝撃が襲い、吹き飛ばされる。
おんぶが解けて二人とも地面に叩きつけられた。
幸い雪がクッションになり、大した痛みは襲っては来なかった。

【あっ!】

《大丈夫か?!》

touraを背負ったetioとcralsが一旦闇を焼く作業を中断してこちらに駆けてくる。

「ええ……それよりirisが!」

sirutoはある程度身構えていた為大した怪我ではないが、irisは予期せぬ事態であった為、受け身を取れていない可能性がある。
急いでirisの元にむかう。
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