あの日の約束

ツリーハウスで休んだ後、cralsはraimuの様子を見に行った。

闇が近くに降ったため、とても心配だったが、その不安は見事に的中した。
raimuの容態は急速に悪化していたのだ。

raimuの頬に闇の浸蝕を示す黒い筋が現れ始めた。
呼吸も荒い。

鈍色にびいろに光る仮面も、彼女の限界が近いことを示している。

恐らく闇が、雨林の大精霊様の光の浄化作用に耐性を持ち始めたのだろう。

このままではあと二回ほど闇が降った後、彼女の光は尽きる。

大切な者に迫り来る死の足音に、ただただ何も出来ずに怯える他ない苦痛は計り知れない。

cralsはしばらく放心してその場に突っ立っていた。

《……はっ、記憶を見に行かなあかんかったんやった。あと、この事も報告せな。》

cralsは書庫で休むetioとtouraの事を思い出した。
こんな緊急事態にぼーっと突っ立ったままではいられない。

急ぎ向かうことにした。




《etio、toura!》

【こんにちは。】

{ヤッホー!}

《etio、具合は大丈夫か?》

【お陰様で良くなりました。少しの無理でも禁物ですね、反省しました。】

あれは少しというレベルではないと思ったが、元気になったのはよかったと思う。

【さて、記憶の原石を見ましょうか。】

そう言ってetioは原石をはめこんだ。
映像が浮かび上がる。


〝闇に飛翔し空を切り裂く
歪を映した見目姿
足るを知らず執拗に
ただ飽くなき渇望を〟


【暗黒竜。】

《歪を映した…?どういうことや。》

{本来はこんな格好じゃなかった…ってこと?}

《そういうことなのか……?》

【おそらく…そうなのでしょうかね。真実はわかりませんが。】

{闇の吸収で変貌したとか?}

《怖っ!》

物騒な話である。
あくまで推測、ではあるが。
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