あの日の約束

《はぁ……今日もあかんか……。》

「如何せん書庫は広いですから……。情報がどこにあるのかが分かりませんね。あるのかすらもあやふやですし。」

sirutoとcralsは、raimuの体内から闇を取り除く術を探しに来ていた。

《先は長いな……。》

あまりに膨大な量にcralsはガックリと肩を落とす。

「あ、そうだ。私の親友にここの管理をしている方がいらっしゃるのです。いつも二階にいるのを見かけるので訪ねてみませんか?」

sirutoがふと思い出したように提案する。

《え、まじか、初耳やな。》

「はい。私が旅に出れなかった時にお世話になった方なんです。」

《ああ、その期間の!》

「はい。」

頼もしそうだ。早速行ってみることにする。

sirutoとcralsは灯篭に火をつけ、起動装置を呼び出し二階に上がった。

「etio、toura、居るかしら?」

二階にあがり、sirutoは辺りを見回して呼びかける。

【…………後ろです。】

{なになに!なんか用?}

「ああ!そこに居たのね!」

すぃーっとetioが中央の装置に降り立つ。
背中にはtouraが居た。興味津々でcralsの方を見ている。

【こんにちは。】

etioはそれだけcralsに言うと黙ってしまった。

{ちょっと!それじゃあ伝わんないじゃないのよ!}

【申し訳ございません。】

etioは謝ったきりまた黙ってしまった。

《あ……あはは。》

cralsは苦笑いでその場の雰囲気を誤魔化す。

「私から紹介するわね。この子がetio。そして上に居るのがtouraよ。」

sirutoがetioの肩を触って、次にtouraを手で指し示して紹介する。

{よろしくぅ!}

《cralsや。よろしく頼む。》

touraがにっこりと笑って手を差し出す。
etioは一礼したあと、touraがcralsと握手しやすいように少ししゃがんだ。

cralsは不思議に思いながらもtouraと握手した。

{で、あんた達何か用事があったんじゃないの?}

《あ、そうや。探し物をしに来たんやった。》

{何について探してるの?}

《単刀直入に言うと、闇に蝕まれた星の子の治療方法について知りたいんや。》

{治療……何かあったの?}

《ああ。初めて使命を果たす子を庇って、暗黒竜の攻撃を受けた時に怪我してもうて、汚染された水を体内に取り込んでしまった子がおるのよな……。》

{名前は?}

《raimu。》

{なるほどね……それは災難だったね……。その子、raimuさんの容態は今は大丈夫なの?}

《ああ。そこら辺は大丈夫や。》

{分かった。急ぎだけど緊急じゃ無いって事ね。あるか分かんないけど任せてちょうだい!}

てっきり色々聞かれると思っていたcralsはあっさりとした返答に驚いた。

《お!詳しいんや……》

{etio!探してきて!}

《え。》

【承知致しました。】

etioが背中に背負っていたお茶セットを手早く装置の脇の石の足場に設置する。

【良ければ皆様もどうぞ。】

siruto達をお茶の席へと勧める。

《いやこれだけ聞いといてお前が探しに行かないんかい!》

【何を仰っているのですか?toura様の手を煩わせる訳には行かないでしょう。】

etioはさも当然だとても言いたげな様子だ。

《…………そ、そうか。ごめんな。》

【分かって頂ければいいのです。】

「crals、有難く頂いておきましょう?」

{etioのクッキー、美味しいんだよ!}

《……これ考えたらあかんやつやな。》

cralsは誰にも聞こえぬ声でそう呟き、その場に従うことにした。
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