あの日の約束

開拓地を抜け、小川エリアに差し掛かる。


星の子達が逃げてくる。
方向と子供達の量から察するに、雨林の食卓だろう。
逃げる邪魔にならぬよう上空に飛び上がって向かう。

星の聖印を解いてトンネルを走り抜けた。



{いやぁっ!!}

《あの声……!》

touraの叫び声だ。

cralsが声のする方に向かうと、ありえない光景が飛び込んできた。

《………………なんやあれは!》

なんと、蝕む石が浮いている。しかもかなりの高速回転で不規則な動きだ。

そして次に目に飛び込んできたのは、touraが大量の蝕む石を背負った闇のカニに追いかけられ、飛び回る蝕む石の方に……………………!

《危ないっ!》

cralsは無我夢中で飛び込み、touraを抱き抱え、衝撃に備えた。





…………いつまで経っても衝撃が来ない。





ふと顔を上げると、自身の周りに透明な幕のようなものが円形に出来ている事に気がついた。
その外で、闇のカニが怯んでいる。

内側から光のチカラが流れ出ている感触を感じる。

身体がとてつもなく重い。
動く事は出来ないが、その代わりにバリアを張ることが出来るようだ。

《これ…は…。》

自身の手と、周りの様子を交互に見て、cralsは困惑しつつもチカラを分け与える以外の用途で使用できた事に驚きと喜びを感じた。

{ぅぁ……え?}

闇のカニたちが怯えている。
なぜだろうか…よく周りを見ればなにかがcrals様を守るように囲っていた。

{なに……これ……。}

闇のカニはcrals達に反応さえするが、近寄れない状況にある。

しかも蝕む闇もすっぽり覆えるので、闇のカニを完全無視することが出来る。
闇を焼く時だけバリアを出し、移動する時はしまう。
そうする事で、身体の重みこそあれ安全に闇を焼ける。
白いキャンドルで回復するより多く光を使うので、危険ではあるが、格段に効率が上がった。

多量のエナジーを奪われつつも、背中のtouraの回復もあり、無事焼き切ることができた。

《便利やけど必ず護らにゃあかん人がいる今回限りやな………むやみに使うと逆に危険を招く。》

いつもより光の維持が大変で疲れてしまった。
cralsはそう言いながらふらつく足を抑え、一息つきながらも瞑想場所へ急いで足を運ぶ。
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