あの日の約束

次の日から念動力の精霊様の直々の指導が始まった。
cralsがどの程度チカラを操れるのかを見て、そしてそれをどのように展開し使いたいのかをcralsに聞き、アドバイスを下さった。





当然一朝一夕で出来るわけもなく、cralsはしばらく念動力の精霊様の所に通いつめた。
日課を終わらせ、raimuの様子を見て、時々噴出する弱い闇を焼きながら、その合間に指導を受ける。
なかなかなハードスケジュールではあるが、彼は必死だった。

《他者を助けるためには、まず自分が支えられるよう強くならなあかんからな…。》







もう何度やったかも分からない。体力を使い果たしてcralsは、書庫の冷たい床にへたりこんだ。

cralsの想像した護りの盾は自身を中心とした半球状のものだ。
しかし、端の方から崩れて行ってしまう。

それを防ごうとしても、どうしても光が霧散してしまい、形を保つことができない。

なにか、なにかが足りない。
そのなにかが一向に分かる気配がない。

《…………どうすればええんやろうか。》
教えられたことは全てやった。

しかし現実は無常。
ただ虚しく時が過ぎていくだけであった。



そろそろ強い闇の噴出も起こるであろう。
それまでに何とか形にしたかったのだが…難しそうだ。

念動力の使い手の精霊に事情を話しに行こうとcralsは立ち上がった。





《……という事がありまして、そちらの方に行かなくてはならなくて……はい。また暫くしたら来ます。貴重な時間を使って頂きありがとうございました。》

強い闇の噴出の観察をしなくてはならず、いよいよ時間が取れない。なので、また落ち着いたら教えを請おうと思った。

念動力の精霊様も、嫌な顔ひとつせずcralsを見送った。たとえ出来なくとも熱心に物事に取り組む者は嫌いでは無いからだ。この時間を無駄だとは思わない。
彼の更なる成長を念動力の精霊様は祈った。
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