あの日の約束

【cralsさん、こんにちは。】

{やっほー!}

少しetioの顔に疲れが見えるような気がする。
記憶媒体を閲覧するのは大変だろう。きちんと休んでいるのだろうか。

《etio、大丈夫か?ちゃんと休めよ?》

【ええ、大丈夫ですのでお気になさらず。】

こう言われてしまったら何も言えない。
心配だが、しばらく様子見だ。

{記憶の原石、持ってきたの?}

《ああ、また頼むわ。》

{おっけーい!}

etioが記憶媒体を持ってくる。

記憶の原石をはめ、再生しようとしたが、なんだか映像が乱れている。

【あー……機材の寿命ですかね…。】

{うわぁこれも?!再生できるのなくなっちゃうんじゃない?困ったなぁ。}

《壊れてもうたんか?》

{うん……。}

{困らないぐらいの在庫が欲しいよねぇ……。}

【大精霊様にお話を通す必要があるので難しいかと。】

{だよねぇええええ。めちゃくちゃ沢山の精霊にお願いして書状貰わなきゃ……。}

《なるほどな……なかなか難しいんやな……。》

{うん。伝があっても簡単じゃないよぉ……。}

《せや、ここの技術は雨林の大精霊様が提供してると聞いたから、今度話をしに行ってみるか!俺とraimuならいつでも会う事ができるしな!》

増産されればここの使えるものも増える。あれは動力源とは違って光を使わない技術なので、そのせいで光が枯渇することもないだろう。
唯一資源を使うのは鉱石の部分だが、昔とは違い、最近の記憶の箱は魔石の取り外しができ、記憶を詰める時にだけ魔石をはめればいいので天然の鉱石を使わないエコなものになっている。

しかしその話はraimuと共にしに行った方がいい。
今はここにある物で何とかしてもらうしかないのが歯がゆい所だ。

【は?話…?直接?雨林の大精霊様と…?】

困惑したように相手の言っていた言葉を少し繰り返す。
意味がわからない。
自分達が、埋もれていた禁書エリアの記録の閲覧、管理認可を得るために、書庫の大精霊様とお会いする許可をいただくだけでとてつもない労力と時間を消費した。
生前の伝を何とか使ってtoura様が計らってくれたぐらいなのだ。
普通ではできない事である。


それを造作もないと言うように一言……。


【raimu……さんって人は何者なんだ?】

戸惑いにより口調が崩れる。
脳が理解するのを拒否している。精霊であっても大精霊様と関われるのほんの一部でしかない。
それなのに……。
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