あの日の約束

【……ここは。】

{わあ、原罪のあとみたい!}

《ここで記憶の原石が取れるんよ。》

{あ!あれ?}

《そう!それや!》

touraがペタペタと触るが何も起きない。

{…………ん?}

《ん?》

首を傾げながらcralsが触れると、それは青い光を放って石を放出した。

《あれ、なんでやろ……。》

【光。】

{あー!知らないうちにあんた光奉納してるのかもね!}

《奉納……?》

{何を起動するにしても光が要るでしょ?そのための光を自然とあんたは供給してるのよ!}

《なるほどな!》

光過多ゆえ気が付かないのだろう。

{さ!とりあえず戻って見てみよう!…………ねぇこれどうやって戻るの?}

《ああ、あそこから戻るんやで。》

cralsが指し示す。

【女神像。】

etioがcralsの指さした方向を見てつぶやく。

皆、女神像の前に座ってホームに戻り、書庫へと向かった。








前回と同じように壁をスクリーンとして記憶の原石を現像してみる。

〝次に見えるは闇の蟹の残滓…

奇異な輝きに魅了され
踏み入れし先は巧妙な罠
知己の光に隠されて
通った跡はなにも残さず〟

また詩のような旋律が流れ出す。
今度は闇のカニが同じ方向に歩いていっている様子であった。

《これは……闇のカニの習性か?》

【 もっと深い闇に嵌って行っている様子ですかね……。】

{闇って怖い……。}

【 治療法……ではなさそうですね。むしろこれは悪化方法です。】

《うへぇ…………治療法はまた別の機会かぁ。》

{うん……。時間かかるけれども、闇の方からこっちに来てくれるのを待つしかないね。}

《手伝ってくれてありがとうな。》

【いえいえ。こちらでも記憶媒体の中身をしっかり見て確認していく作業に入りたいと思っております。】

{書庫はまかせといて!!}

《わかった!》

そうして、三人はそれぞれのことをしにまた解散するのであった。
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