せっかくなのでパン作りも手伝う事にした。
案内人のおばさんは最初申し訳なさから遠慮していたが、cralsの熱意に負け、ありがたく手伝ってもらう事にした。

パンを焼くのは意外と重労働だ。なので、人手があった方が助かる。

おばさんがとってきた小麦を挽いて粉にし、材料を並べる。

手順はざっとこんな感じだ。



ボウルに水以外の材料を入れ、水を加えて混ぜ、ひとかたまりになったら深皿から出し、表面がつるっとするまで捏ねる。

捏ねた生地を再び深皿に入れ、二倍ほどの大きさになるまで置いておく。

空気抜きをし、分けて丸めて、濡れた布をかぶせて十分ほど寝かせる。

少し膨らむので、丸め直して板にのせる。

濡れた布をかぶせて、火のそばの暖かい所で十分寝かせる。

寝かせたら、そのまま火のそばからテーブルに移し、十分寝かせる。その間にかまどに火を入れてあらかじめ熱しておく。

十五分程焼き、焼き色がついたら完成！



《ふぅ、できた！》

こんがりとした美味しそうなパンが出来た。

分担したので、時間を大幅に短縮する事ができた。
生地を寝かす時間は変わらないので、そのほかの作業時間をどのくらい短縮するかが肝なのだ。

焼きたてのパンをおばさんが渡そうとした。お礼だそうだ。

《お礼なんていらないですよ、ただならぬ様子だったので助けただけやから…。それに、皆に振る舞う分が減ると困るでしょう？》

と言い、断るcrals。

それでもなおパンを差し出すおばさん。
これは甘えないと失礼になるとcralsは判断し、美味しそうなパンを貰って帰る事にした。

《……では、お言葉に甘えて。》

おばさんは嬉しそうだった。
手を振って見送ってくれた。

《ふぅ、濃い一日やったなぁ。raimu達を誘ってこのパン食べよ。》

そう呟き、cralsは晴れ間エリアを後にした。

その後、cralsは、焼きすぎたから、うまくできたからといった理由でおばさんの元を訪れる度にお裾分けを(半ば強引に)渡されるようになるのはまた今度の話。