《もう行くのか！？無謀すぎひんか？》

cralsはraimuを引き留めていた。
砕け散ったチカラが元に戻ってからまだそれほど時が経っていないにもかかわらず、彼女は使命を果たす旅を再開すると言い出したのだ。

［やめた方がいいといったって、いつかはやらなくてはいけないことだろう？それに、いつまでもぐずぐずと引き伸ばすことはできない。］

《……怖くはないんか？》

［なぜ？何故怖いと思う。］

《あれほどの目にあったんやで！？逆に、何故怖いとおも…》

［私の意志を、未来を、紡いでくれる者がいるとわかっているからだよ。私は私の運命に従うまで。今回は、私は助かった。だが、また似た様なことがあって、助かるかは誰も知らない。そんなもんだ。］

cralsは頭を抱えた。
彼女はいつも達観している。物事を全てわかっているような物言いをする。
確かにそうだ。このまま言い訳を続けていればずっと安全でいられるだろう。しかし我らは星を紡ぐ者。使命と共にある身なのだ。

《はあ、お前に何をいっても無駄なことはわかってた。俺はただ、再びお前を失うことが怖かっただけなんや。》

［嬉しいことを言ってくれるね。］

今の彼女は、一度闇に侵蝕された影響で光に大きく呼びかけることも出来ない上に、チカラの回復も遅い。その上、汚染された水の影響も受けやすい。一人では使命を遂行することはままならないだろう。

cralsはraimuに手を差し出した。

《だから、同じ過ちはもう繰り返さん。また頼むで、raimu。》

［そう簡単にくたばるわけないだろう。こちらこそ頼んだよ、crals。］

使命の旅は永い。しかし、この度の行先は明るいだろう。