流星の四重奏

階段を降り終わると上で扉が閉じた音がした。

「cralsさんはどうやってここを見つけたんですか?」

気になったことを聞いてみる。

《隅々まで探し回ったからな。書庫、って言うくらいやのにあんな中身のない情報ばかりでおかしいと思ったんよ。これは隠しとるな、と思っていたら案の定。》

彼は四人の中でおそらく一番頭がきれる。推察能力や考察、情報のまとめなどがとてもうまいのだ。
sirutoはこういったところで密かに彼を尊敬していた。
たまに嘘を言って揶揄ってくるのでその点を除けば。

「さすがですね。」

sirutoがそういうとcralsは少し驚いた顔をしたが、にっこりと微笑んで喜んだ。
いいと思ったことは声に出さないと伝わらない、とraimu先輩に教えてもらったので実践してみたがいいかもしれない。

狭い通路を抜けた。

なんとも不思議な空間が広がっていた。
書庫自体の雰囲気が元々不思議だが、ここは一線を画している。

cralsはsirutoの手を引いて飛び上がって、左手に見えている建物へと入った。
彼はランタンを点けて辺りを照らす。

《ここには、かなり多くの情報があった。それも、詳しい、な。》

「こんなところに隠されていたなんて…。」

おそらくではあるが、一般精霊も閲覧したであろう表の記録は、この王国の闇の部分を隠し、栄華を極めた部分だけ見れるようになっていたのだろう。
都合の悪いことは隠す。狡猾なやり方だ。

しかし、皆を安心させるためには必要なことだったとも考えられる。混乱は、滅びをはやめることもあるからだ。複雑な思いだ。

cralsはここに通ってraimu先輩の闇の浄化の方法を探っていたそうだ。
解決の糸口は他にあったようだが、それはまたの機会に聞けばいいだろう。

《これが歴史ってもんや。綺麗なところと、汚いところ。その二つを知ることにこそ真の意味がある。》

cralsがおもむろに棚から記憶媒体を取り、ふっと息を吹きかけ埃を払って言った。

「…一人で考えるには難しいですね。」

《良ければこれから気が向いた時に一緒にここにきて考えるか?》

「いいんですか!?ぜひお願いします。」

嬉しい提案だ。
これからの楽しみができた。
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