流星の四重奏

cralsは、ツリーハウスに来ていた。

雨林の空気は、自然の香りがして心地良いので昼寝に最適である。
しかし、難点なのは何処もかしこも腐蝕の雨が降っている事である。
そんなところで寝てしまったら、心地よい睡眠どころか永遠の眠りになってしまう。

そんなバイオレンスな睡眠はしたくないので、ツリーハウスというわけである。

ここなら屋根がある上に、高所にあるハンモックで、風を感じれる。

まさしくうってつけである。
しかも今日は運がいいことに、雨が降っていない。

ハンモックに寝転がる。

ポカポカと心地よい日差し。隣には、さっき焼いてきたマシュマロ。

なんて最高の環境なのだろうか。

片手でマシュマロを食べながら景色を眺めていた。



しばらく食べ進め、どのくらい減っただろうと籠の中を手で弄ると、一つ手に触れた。
これがラストのようだ。

取って大きな口で食べた。

よし、無くなったかな、と籠の中を触ると、また一つ、柔らかいものが触れた。

取ってみるとマシュマロだ。

《まだ残ってはったか。》

そう言って食べた。

よし、と思い、籠を伏せようと手に持った時、まだ中に一個入っていた。

おかしい。

一個しか入っていないことを目視して食べ、籠を横に置く。


しばらくしてそっと見てみるとまた一個…!

ゾッとした。
背筋が寒くなる。

もうヤケになり、今度は籠の中身をガン見しながら食べた。
綺麗さっぱり無くなった。

ほっと空を仰ぎ見て籠を戻そうとすると、中に円柱形の白いものが一つ。

《………………。》

今すぐ籠を投げ捨てたい衝動に駆られたが、これは晴れ間エリアの案内人のおばさんの精霊から借りたもの。
そんなことは出来ない。

もう、無視を決め込む事にした。

籠の蓋を閉じ、横に置いておく。





だが、どうしても気になってしまう。
見るとあるであろう事はわかっている。しかしとても気になる。

《確認。確認するだけや。一個あることを確認するだけや。》

ごまかすように呟いて蓋を開けてみた。

見たことを激しく後悔した。
こういうのはやはり見ないほうが良いのである。




一個どころか籠いっぱいにマシュマロが入っていた。




「…さん!cralsさん!」

呼ばれてはっと目が覚める。

「うなされてましたが、大丈夫ですか?」

《……………夢か。》

せっかくの心地よい昼寝でとんだ夢を見たものだ。

《siruto、起こしてくれてありがとうな。》

「いえいえ。あ、raimuさんが呼んでいたので呼びにきたんです。」

《そうなんか。》

そう言いながらcralsは籠を見る。

籠には、一個、のマシュマロ。

それを頬張ってから

《にしてもおもろい夢やったな。》

と誰にも聞こえない声でぼそっと言った。

「何か言いましたか?」

とsirutoが聞く。

cralsは、

《なんでもないで!》

と誤魔化すように籠からマシュマロを取って食べた。
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