③上2つ↑↑↑の後
お名前を教えてください!!!
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あれから1週間
あれ…ってのは、この時代に飛んでから
ってことだ
俺は変わらず6年前…高校2年の世界で
生徒会とTrickstarの草鞋を履いて
2度目の高校生活を送っている
だが今日は満月
きっと帰るのは今日だろう
という事は今日が最後のチャンス
結羅と離れないための、最後の日だ
それにあの頃の高校生活と違うのは
「っおーい!結羅〜!」
『あ、真緒くん』
圧倒的に、彼女に話しかける回数が
増えたことだろうか
『それ生徒会の?手伝おうか?』
「え、でも結羅は大丈夫か?
企画書とか…」
『さっき終わらせて提出したの
だから大丈夫だよ!』
「じゃあ、お言葉に甘えようかな
とりあえず生徒会室行こうぜ!」
以前はあんずと過ごしていたこの時間を
今回は間違わないように彼女と過ごす
もう…失わない為に
「っし、この資料をユニットごとに
分けてくれるか?」
『うん、わかった!』
2人きりの生徒会室で、黙々と仕事をする
ただ、彼女が居るだけで安心する
こんなに俺の安定剤になっていたなんて
思いもしなかったけどな
『…真緒くんさ』
「ん?」
夕陽が照り始め、離れる時間が近くなる
まだ来るな、とダメ元に念じていると
突然、彼女が声を発した
少し前までならわかっていた行動も
俺が過去を進行形で変えているせいで
読めなくなっているから、次に来る言葉を
ただ待っていると
『…あんずちゃんの事、好きって
言ってたよね』
「っ……………い、いつ?」
『好きなタイプ聞いた時』
爆弾投下
そうだ、この時期ってことは既にそれは
言ってしまってるんだ…
だから俺は孤軍奮闘してるわけだけど!
「そ、そうだったか〜?
あんずとは言ってないような〜…」
『あんずちゃんじゃんって私言ったよ
それにしては最近よく私を呼ぶよね?』
「…そ、そんなこと言ってたか〜?
あの時疲れてたんだよな〜!」
『…真緒くん、間違ってたらごめん
信じれなくても、馬鹿なこと言ってるって
思ったとしたらごめんね
…………………もしかして真緒くんさ』
その後の言葉に、俺は息を止めた
―『………過去に飛んでるの?』
ああそうだ、こいつは観察眼が凄いこと
完全に抜けていた。
「……そうだと、したら?」
『…貴方は、いつの真緒くんなの…?
高校3年生の真緒くん…?』
過去に飛んだからこそ聞ける質問
その問いに、俺は素直に答えた
「いや、もっと先……6年後から来た」
『ろっ6年後………!?じ、じゃあ今の
真緒くんは…え、えっと…22歳…?』
「そうだな。こっちに来たら見た目が
この時の俺になったんだけど
正真正銘、俺は6年後の衣更真緒だ」
そう言って最後の書類に1つ印を押した
.☆.。.:.+*:゚+
『…6年後の真緒くんが、どうして…』
「…結羅が、1年前に飛んで
紗里先輩として別れを告げたあと」
目を見開く彼女に、俺は話を続けた
「確かに俺はお前が知る通り、好きな人は
あんずって答えたし、あんずを好きになった
…けど夢ノ咲を卒業した時……
お前は、もう居なかった」
『…どういう、こと?』
「プロデューサーにならなかったんだ
俺たちとは別で、普通の大学に行って
連絡も取れなくなって、それで…」
そう言うと、彼女は俯く
『…』
「なにか、思い当たるのか?」
『…いや、ただ…今の私の考えと一緒
ってことぐらいしか』
「…………なんで、プロデューサーに
ならなかったんだ…いや、ならないんだ?
俺はずっと、結羅と居れると」
『それなんだよ』
俺の言葉をさえぎって彼女は言う
その表情は酷く切なげだった
『…皆と…真緒くんと居ることになる
未来の私は逃げたんだよ…今の私も
同じことをしようとしてる…
あんずちゃんに恋する真緒くんを
見ていたくなくて、苦しくて
それだったら、見えないところに行ったら
良いんじゃないか、この道に進まない事が
方法なんじゃないかって思うの…』
そんなの…じゃあ
「俺の、せいで…お前はプロデューサーに
なるのを諦めたって言うのか……?
…俺の、せいじゃねぇか…」
『違う!私が選ぶ道なの!だから、
真緒くんが悪いわけじゃない』
「でも結局!俺は離れてから…っ
結羅の大切さに気がついた…
話したくて、笑顔が見たくて…
傍にいてほしくてそれで………」
俯いた俺に、結羅は近付いてきて
ぽん、ぽん
「…!!」
『…そっか〜。真緒くんも頑張ったんだね
…私なんかの為に、過去まで来て……』
頭を撫でてくれたのは、
保健室で初めて出会ったあの時以来で
「っ…結羅っ!!!」
『っま…………っ!?』
堪らずに俺は彼女を抱きしめた
「…ごめん、苦しい思いをさせて
辛いことをさせて…我慢させてごめん」
『……………真緒くん…』
俺はただ、謝った
『…真緒くん、謝らないで?
私こそごめんね…そもそも過去に私が
飛ばなければ、真緒くんはこんな気持ちに
気付いて…過去に飛ぶことも無かったよね
あんずちゃんとの間を邪魔しちゃった』
「っ、それは違う!」
未だ自分の求める道へ行かない彼女を
俺は声を荒らげて否定した
「この時代の俺はそうかもしれない
けど…俺は、ここにいる俺は!
結羅が好きだ…」
『っ!!』
まんまるな瞳が、一際大きく開かれる
俺はその瞳を見つめながら
言葉をまた続けていく
「馬鹿だけど、離れてから気付いたんだ
この時代の俺は確かにあんずが好きだ
好きかもしれない、でも!
ここにいる俺はお前が好きだ。頼むから
…俺の気持ちを、こんな気持ちとか
邪魔しちゃったとか…言わないでくれ
…否定を、しないでくれ……」
『…………』
「…頼む」
そう言って頭を下げると、
結羅は一言も発しなくなった。
不安に思い下げていた頭をあげると
「!!!」
『……………』
「……ゆ、うら…………」
彼女は大粒の涙を流しながら、自分の
小さな手のひらを見つめていて
『…おかしいな………真緒くんと、ずっと
ずっと望んでた両想いなのにな……
こうなりたくて、過去に飛んだのにな
……………苦しいの』
「…苦しい?」
手のひらを見つめ、涙を流しながら
彼女は言葉を続ける
『っ…うれ、しいの…嬉しい、のに…っ
……………貴方は、この時、代の…っ
真緒く、んじゃ…な…い…………』
「!!!」
『貴方が…6年後に、きょう、の
満月で…もどれば………あしたから…
また…あん、ずちゃんの、こと…好きな
真緒くん、だから…』
そう言って、彼女は涙声でしゃがみ込む
『…く、やしい…………っ……!い、ま
この、あいだしか…両想い、じゃな、いの
ま、た…明日、から…片、思い…なの、
っ…そ、んなの…っ………やだ…っ』
「!!……ゆ、うら………っ」
―そんなの嫌だ
それは、初めて彼女から出た想いだった
ずっと我慢して、吐き出せなかった
その気持ちが…初めて俺に届いた瞬間
『な、んで…っ………』
「…結羅………思ってること
全部全部、俺に教えてくれよ
…結羅がどれだけ思ってくれてるか
ここにいる俺は、知りたいんだ」
そう伝えると、涙で目を腫らした彼女は
目を擦りながら言い始めた
『っ…初めて、見た時、から…
微笑んで、くれた時から……っ……
ずっと、ずっと好き…っ……その気が、ない
って、いうのも…あんずちゃんが
好きなのも、分かってる…っ…でもっ
好きで、好きで…とまん、なくて…』
「うん」
一言一句、聞き漏らさないように
俺もしゃがみ込んで彼女の声を聞く
『仕事、してるのも、歌って、るのも
生徒会で、がっんばっ…て…るのも…
ぜん、ぶっ…みで、で………て、つだい
た、ぐでっ…でもっ…ま、おぐん…はっ
あんずちゃん、に…頼んでで……っ…
…真緒くんがっ…わたし、にみせない顔で…
あんず、ちゃんにっわら、ってる、のみて…
し、あわぜ、そうで…っ』
「………うん」
『そ、じだらっ…真緒くんが、し、あわせ
なら…それ、で、いい…っで……思っで…
と、なりは…私じゃ、ないって……っ
っ…せ、めてっ…まお、ぐん、には
しあ、わせで…いて、ほしぐで…っ…』
「…結羅……」
俺はうずくまる彼女に腕を伸ばして
―優しく、抱きしめた
『!!!』
「…ありがとう。そこまで俺の事を
思ってくれてたんだな」
『っ…ぅ、ぁ…………』
「……………いいんだよ、泣いて」
その言葉がきっかけで、初めて彼女は
俺の前で大きな声を上げて泣いた
『っ…ぁぁっ、うぁぁっ!ひっぐ!
ひっぐ………うぁぁぁぁぁ!』
その声は、ずっと溜め込んでいた
悲しさや苦しさの声に聞こえて
俺は強く彼女を抱きしめた
ここまで至近距離で彼女に触れるのも
体温を感じることもなかったからこそ
俺も込み上げる感情があって
「結羅、ごめん、ごめんな…
好き、好きだよ…俺も大好きだ…っ!」
『真緒ぐん…ま、お…ぐんっ………』
何者にも変え難いはずなのに
両想いで嬉しいはずなのに
今夜、俺は未来に帰る
想いを伝えてくれた、この時代の彼女を
また1人で置いて行くことになる
明日からまた彼女は、あんずを見ている
俺を見て、我慢して応援して…自分の
この気持ちを殺していくんだろう
「…明日から、また俺は結羅を
苦しめるかもしれない。悲しませるし
あんずを見るかもしれない…でも
…でも、忘れないでくれ…6年後の俺は
未来に戻っても結羅を想ってる
その事実は変わらないから」
『っ、うん………っ』
本当は置いて行きたくない
ずっとそばに居たい、隣に居たい
笑わせてやりたいのに
「……そろそろ、屋上に行かねえと」
時間は、残酷にも近付いてくる
『…見送り、する、ね』
「っ…おう!」
俺は立ち上がり、彼女に手を差し伸べる
潤んだ瞳の結羅は、また目に涙を
浮かべながら俺の差し伸べた手に
自らの小さな手を重ねた
.☆.。.:.+*:゚+。
『………まさか、未来から来るなんて
実際過去に行った私が言うのも
おかしな話だけど、凄いよね』
「だな…でも、また出会えてよかった
俺からすれば結羅と会うのが
5年ぶりだったからさ……名残惜しいよ」
『……未来の私と、連絡取れないの?』
「…ああ。全部番号とか変えたみたいでさ
取る手立て無しだ」
屋上の扉を開きながら言うと、結羅は
なら…と、声を出して言った内容
『なら…今、約束しよう』
「…約束?」
『真緒くんが来たのは、6年後の何月?』
「え、10月…だけど」
『…じゃあ、6年後の11月1日…
真緒くんのいる時間の、11月1日
…17時に、夢ノ咲学院の正門前で
待ち合わせしよう』
「…!」
それは6年越しの待ち合わせの約束だった
『きっと明日からまた片思いになる
どう転んでも高校生活で、真緒くんが
私を好きになってくれるとは思わないの』
「何気に失礼じゃないか?」
『…だからこそ、きっと私の未来も
変わらない。プロデューサーにはならない
真緒くんとは、別の道に行くと思う』
「っ………そ、っか」
やっぱり、その影響で未来が変わることは
無いのだろう
『けど、6年後に…そこでまた、
私に告白してほしいです…同じ時間の私が
お返事をするために必ずそこに行くから』
「……っ、分かった」
『…忘れないでね、約束だよ』
そう言って笑う。
可愛い彼女に俺はつい手を伸ばして
頬を優しく撫でる。そしてそのまま
『?真緒く……―』
後頭部に手を回して、静かに唇を塞いだ
「…………ファーストキスは、どうしても
結羅が良かったんだ」
『………馬鹿…………私も、だよ』
22歳なのにファーストキスまだなの?
なんて言って、言われて
見つめあって、笑いあって
微笑んで……俺達はまた唇を重ねる
『……真緒くん』
「ん?」
『…………大好き、だよ』
もう一度俺に抱きついて、結羅は
そう口にする
「…俺も大好きだよ、結羅
…絶対、迎えに行くから待っててくれ」
『…うんっ……!…約束、ね』
小指を絡めて約束
6年前の彼女と、6年後の俺は
確かにこの瞬間…約束を共有した
『…………明日から、片思いがんばる』
「…諦めないでくれよ」
『うん。約束したんだもん、諦めないよ』
時計を見れば6時59分
針が真上へ行く前に、俺は伝えた
それは、俺が前に見たアニメ映画で
言われてた台詞だけど
「未来で待ってる!」
嘘偽りない、心からの本音。
彼女はもう泣いていなかった
代わりに、誰よりも可愛い笑顔で
『好き!』
飛び降り、未来へ戻ろうとする俺に
そう、叫んだのが聞こえた
.☆.。.:.+*:゚+
「北斗、今日の仕事は15時までだよな」
「ああ、その予定だ。衣更は今日は
ここまでだったな、お疲れ様」
「おう!お前らは個別で仕事だっけか?」
寒くなってきた霜月…所謂11月の1日
俺はいつもより気合のこもった服を着て
仕事をミスなくこなしていた
「サリ〜珍しいね!そんなに張り切って!
服もキラキラだし!何か用事?」
「おう、大事なヤツと会うんだ」
「えぇ!サリ〜の好きな人!?」
「え!?衣更くん、本当!?」
「まて衣更、お前には真瀬がいただろう」
「そ、そうだよ衣更くん!衣更くんには
結羅ちゃんが……!」
まて、盛大な勘違いをされている
「お前ら落ち着けよ…!」
「サリ〜もしかして、マセマセと
会う約束!?もしかして!?」
「ははっ、そのもしかしてだよ」
「え、そうなの衣更くん!?」
「真瀬と連絡を取れていたのか…!?」
3人の質問攻めに
「いや?6年前に約束したんだ」
俺はそう答えてからテレビ局を出た
.☆.。.:.+*:゚+。
「次は〜夢ノ咲学院前〜」
そのアナウンスを聞いて、
緊張しつつも浮き足立つような気持ちで
電車を降りて学院へ向かう
つい先月まで過去に飛んで、再び
通っていたが、やはり6年経つと
変わらない景色と変わる景色があるものだ
「…ちょっと早く着きそうだな」
そう思いつつも学院前を見ると
「っ…!!」
小柄で、黒髪の女の人が1人
俺好みのワンピースを着ている。
黒の鞄を持ち、白の靴
ケータイ画面を見つめていた
「………………この間直接約束したのは
6年前のあいつだったもんな…そりゃ
卒業して5年経てば変わるよな……」
時間は16:45
15分前なのに既に待っていた
それだけでもう嬉しくて
「…………あの!!!!」
『…!!!』
俺は声をあげた
「…5年前から、好きです!」
『……っ』
「…………返事を、くれませんか!」
その問いかけに彼女は泣き笑いで
同じように声を上げた
『っ…6年間、待ってました…っ!』
「っっ…結羅…!」
『真緒くん……!!』
正門前に立つ彼女目指して走る
その流れで彼女を抱きしめた
「おまたせ…っ!!!」
『真緒くん、真緒くん…!!』
俺からすれば1ヶ月も経ってないのに
あの時の彼女からすれば6年もこの時を
待たせてしまったということが
…逆に、6年も待ってくれたということが
どれだけ苦しくて嬉しくて、
かけがえのないものなのだろうか
「…髪、伸びたんだな」
『真緒くんも、背が伸びたね』
「そう見える?」
『うん』
「厚底スニーカー履いてるだけ」
なんて言って笑い合う
『それに……昔もだけど…
今はもっと格好良くなった』
「……変わってないんだな…
心臓に悪いこと言うところ…」
『っえ!?』
可愛かったあの時の彼女は
今は綺麗な大人になっていて
それも好きだな、って思う
「…好き、大好き」
『…私も…大好き………!!!』
優しく頬に触れて、口付けをひとつ
「…このあと時間あるか?」
『勿論取ってあるよ』
「ははっ、すっげえ嬉しい
じゃあ晩飯どうだ?」
『うん!真緒くんとなら喜んで!』
「うっし!じゃあ、行こっか」
俺たちが出会った学校の前で
ようやく同じ時を生きる俺たちが
結ばれた瞬間だった
.☆.。.:.+*:゚
『おはようございます
本日からSTARMAKER PRODUCTIONの
専属ヘアメイク担当をさせて頂きます
真瀬結羅と申します
よろしくお』
「「「マセマセ〜!/結羅〜!
真瀬〜!/結羅ちゃん〜!」」」
『……………よろしくお願い致します』
1ヶ月後、突然事務所に結羅が
現れた俺は呆然とした中、
姫宮、守沢先輩を筆頭にデカい声が
事務所に響く
『あっ、真緒くんおはよう』
「おはようじゃねぇよ!?俺そんなの
一言も聞いてないぞ!?おはよう!」
『だって一言も言ってないから』
「衣更、特大ブーメランだな」
「ごめん北斗ちょっとよくわかんないわ」
「つまりつまり!これからは現場で
マセマセが一緒ってこと!?
わ〜5年ぶり!!相変わらずキラキラ!
会いたかったよ!!!」
スバルがブンブンと手を握る中
真が横から声を発した
「つまりこれから、僕達は衣更くんに
嫉妬されるんだね…?ヘアメイクの度に」
その言葉に、俺の体がピクリと固まるが
『大丈夫だよ!真緒くんはそんな
器の小さい男じゃないから!』
なんて満面の笑顔で言われたので、既に
姫宮やスバルに嫉妬してるなんて言えず
「…俺って、器が小せえのか?
これから大丈夫か俺?」
「衣更くん生きて」
俺の喜びと悩みが1つ増えたのである
おまけ
「ってか北斗、特大ブーメランって
なんだよ…」
そう聞けば北斗はむっと顔をしかめた
「とぼけるな。衣更が真瀬と久々に会って
付き合い始めたなんて、俺達は
一言も聞いていなかったぞ」
…まさに特大ブーメランだった
「うぐっ、どうしてそれを………!?」
「あんずから聞いたんだ〜!
ほら!マセマセとあんずって、仲良し
だからさ!何でも知ってたよ!」
「…なんでも?」
スバルの言葉に、今度は俺がむっとする
「そう!サリ〜がムッツリな事を知ってて
マセマセが付き合ったこととか、
夢ノ咲の正門で告白したとか〜あと
付き合って1週間でマセマセをお持ち帰」
「あああああああ!!!!!」
危なかった
事務所の真ん中でなんてことを
暴露するんだこいつは…!!
「てかなんでそんなことまで
知ってるんだよあんずは!!!
さては…おい、結羅…まさか
全部あんずに………!?」
『?私は付き合ったことしか』
それを聞いてバッとあんずを見ると
彼女はニヤリと笑ってみせた
「……え、怖」
『さすがあんずちゃん』
「けどマセマセのことも聞いたよ!
卒業してからもずっとテレビでサリ〜が
出る時は録画して観てたこととか
雑誌も買って、サリ〜の好きなタイプに
なんて書いてるかチェックし」
まて、それは初耳だ
『す、スバルくん!なんでそれを!?
ちょっ、それ以上はなにも言わな』
「スバル、他には何を聞いたんだ〜?」
『真緒くん!』
俺もさっき暴露されたんだ
これでおあいこだろ?
「あとはね〜
すっごい厚着で変装して、ライブ来て
サリ〜のグッズ買ってたり集めてたり」
『ねぇなんで知ってるの?!』
その言葉に、あんずが親指を立てる
…なるほど、バレバレだったんだな
「実はマセマセ、サリ〜から
ファンサ貰ったこともあるって聞いたよ」
「まじか!?いつのだ!?」
『い、言わない!!』
それからもスバルから…もとい
あんずからの情報は止まらない
「雑誌のインタビューに載ってるサリ〜が好きな雰囲気の女の子の服は
チェックして買ったり
一緒に映ってる女優さんの服見たり」
「確かに、再会した時のワンピース
めちゃくちゃ俺好みだった」
『わ、わ……え、なんでそこまで…』
「付き合ってから本当はサリ〜にもっと
グイグイ来てほしいとか、なんなら
夜とかもっと」
『ああああああああああああ!!!』
…結羅が、スバルの口に
パーティー用の唐揚げをぶち込んだ
『スバルくんそれ以上言うとお土産として
買ってきた金粉の琥珀糖はあげないよ』
「ええ!?それは困る!じゃあ
サリ〜に言えるのはここまでね!」
…いや、最後の!最後のやつ!!
めちゃくちゃ気になるんだけど!?
『…真緒くん、今聞いたことは忘』
「え、嫌だけど。全部嬉しかったし」
その後小1時間、結羅は
ただただ無言で
記憶の消し方
をネットで検索していた
そんな姿も可愛いと思ってしまうから
既に俺は重症だと思うけど
恋愛以外の、彼女との時間…
同じ時が、もうひとつ確かに
動き始めた瞬間だった