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「はぁ………」
「どうしたのサリ〜?」
「いや…なんでもないよ」
夢ノ咲を卒業して早5年
変わらずTrickstarは4人で活動して
波にも乗ってた時、不意に寂しさを覚えた
今に始まったことじゃない
卒業してからずっと感じているものだ
「…結羅」
「衣更くん、よく無表情で上を見て
結羅ちゃんの名前呼ぶよね」
「は、まじ!?うわ恥ずかし…」
「衣更、そんなに真瀬が好きだったのか」
「っるせ………俺も…アイツが離れてから
こんな気持ちになったんだよ」
そう、当たり前だと思ってた
あんずみたいにそのままプロデュースして
プロデューサーになって、これからも
ずっと一緒に進んでいくんだと思ってた
なのにあいつは……結羅は
プロデューサーの道を選ばなかった
卒業して初めこそ、あいつも違う地で
頑張ってるから、と頑張ることが出来た
いつからだろう…結羅が居ないこと
結羅が見えないだけで、こんなに
不安で、会いたくて仕方なくなったのは
「………結羅」
「ははっ、サリ〜また呼んでる!」
「っあ〜もう!………………さり?」
今まで気にならなかった事なのに
突然スバルの呼び方に既視感を感じた
サリ〜…さり……………
「なぁ、スバル!
夢ノ咲の屋上の伝説、覚えてるか?
ほら、前話してたろ!」
突拍子でスバルにそう聞くと
キョトンとしつつもスバルはすぐに
ああ!と声を漏らす
「あれね!満月の夜7時に屋上から
飛び降りると過去に飛べるってやつ!
ちょうど今日満月だよね〜!」
―「知ってる、マセマセ?
満月の日、夜7時に屋上からグラウンドに
向かって飛び降りると1ヶ月だけ
過去に行けるって言うやつ!」
―『ええなにそれ!?』
―「明星くん、それは伝説であって
本当にしたら死んじゃうからね!?」
あの時、皆が苦笑する中で
彼女だけが真剣にその話を聞いていた
そもそも既視感があったんだ
初めて出会った時
―「どっかであったことあるか?」
俺は彼女にそう言った
―『え!?そ、そんなことないよ…
衣更くんみたいな格好いい子と出会ったら
私も忘れないってば』
そう返され、少し恥ずかしくて
その既視感を無視していたけれど
「スバル、あれって確か1ヶ月間
過去に飛べるんだよな?過去って
一体いつ頃なんだ?」
そう聞くと、スバルは ん〜と唸り
「俺が聞いたのもあくまで伝えだから
わからないけど、1年前だったりするみたい
半年だったり、産まれる前…どうなるかは
謎だらけだったはずだよ!」
「…1年前……」
―「紗里先輩!」
…もしかしてだけど…いや、まさかな…
「スバル、ありがとな!」
「ちょっサリ〜どこ行くの!?」
「"忘れ物"を探しに行くんだ!」
そう言って楽屋を飛び出して
携帯と財布だけを持って母校へ向かう
変わっていない校舎が見えてきて
柵を飛び越えそのまま階段を駆け上がる
「…あの伝説が本当なら
こっから飛べるはずだ。嘘なら終わり
俺の人生はここで終了なわけだけど」
けど、試したい
「もう一度、結羅に会いたい
真実を確かめたいんだ」
その気持ちだけを胸に、俺は満月の夜
覚悟を決めてグラウンド目掛け
身体を投げ打った
.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*
「っ…ここ、は…」
目を覚ますと昼間。
場所には既視感。間違いもしない
夢ノ咲の、凛月がよく寝ていた木陰だ
「…ほんとに、飛んだのか…?」
そう思いそっと校舎を覗く
時間を見るとまだ授業中の時間だ
誰にも会わないようにと思った時
「っと、保健室から声がす……?」
不意に保健室から男女の声がした
校舎裏からそっと近づき声の主を探ると
「…俺…と…結羅……!?」
1年の赤い体操服を着た俺と
青のネクタイを着けた制服姿の結羅が
保健室で椅子に座り話をしていた
『そうだなぁ…佐賀美先生のお手伝いを
してるんだ〜今の範囲は頭に入ってるから
だからこうして保健室の見張り番』
1年の頃、体育で1度足をやらかした時
保健室で手当してくれた先輩がいた
「凄いんすね、先輩…俺は色々追われて
毎日忙しいです」
『ふふ…生徒会に勧誘された?』
「っ!…気付けば役員に…っ!?!」
苦笑いする俺の頭を優しく撫でて
優しく笑ってくれた先輩
『そっか〜頑張ってるんだね。お疲れ様
…けど、絶対無理はしないでね!』
「っ……はい、ありがとうございます」
何故か分からなかったけど、いつも
俺の欲しい言葉や行動をくれた
「先輩、名前聞いてもいいですか」
『っ!?!?!?』
その理由がやっとわかった
『さっ、サリ〜!!!!』
「さり?…紗里さん?」
『そ、そう!』
違う、違うんだ…その人は
紗里なんて名前じゃない、先輩じゃない
「衣更真緒です…って、知ってますよね」
『う、うん!バッチリ!』
知ってるどころの関係性じゃない
もっと、大切な…
『あ、チャイム鳴ったね。真緒く…
衣更くん、時間だよ』
「真緒」
『ん?』
「…真緒で、いいです!!」
『じゃあ…真緒くん』
あの時、俺の手当をしてくれた先輩は
「ありがとうございました、紗里先輩!」
『うん!』
1年後からやってきた、結羅だ
結羅本人が、過去に飛んだんだ
「っわ!」
それが分かると急に足元が歪み始める
反射で目を閉じ、再び開けば
「………夜?」
辺りは夜へと景色を変えていた
そもそも同じ日の夜なのか分からない
空を見上げると満月が照っている
その月と同じ方向に居るのは、
さっきも見た 高校1年の俺 と
1年後から来ている高校2年の結羅
満月の夜…二人で話したのは……
「確か、紗里先輩が引っ越すって…
あれ…でも紗里先輩が結羅で
引っ越す………っそうか…!!!」
彼女が引っ越すんじゃない、元の時代へ
帰る意味だったんだ
だとすれば今から彼女は屋上へ向かう
もしかしたら話が出来るかもしれない
なら俺も屋上に向かうべきだ
…だけど
「最後、彼女はなんて言ったんだ?」
あの時言われた言葉。
先輩が泣いているということに意識が
向いてしまって聞こえていなかったのだ
戻ってきたからこそ、知りたい言葉
俺は二人の会話が聞ける距離まで
木陰を通って向かった
『……ねぇ真緒くん…例えば全部夢だと
したら、何を言ってもいいと思う?』
「へ?」
そうだ、そんなことを言われた
それに対して俺は
「…暴言じゃないならいいと、思います
…夢なら、目が覚めて忘れて…
言われた相手も幻だから……」
『そっか』
そんな濁った言葉を返して…それで…
『少しの間だったけどありがとう真緒くん
………好きだよ、ううん…大好きだった』
―ああ、そうか…彼女は…
「っえ………紗里先輩いま………」
『…行かなきゃ…真緒くん、ばいばい』
「っ、紗里先輩!」
走り出す彼女を追いかけ夢ノ咲の屋上へ
向かう。走る背中が酷く小さくて
胸が締め付けられる。
彼女は俺に、過去に来てまで
「っ…俺に気持ちを、伝えてくれてた」
屋上まで駆け上がり
開いたままの扉に踏み出し
少し先にいる小さな背中を見つめる
『ほんの少し、2人保健室で話した事は
決して未来に反映されるものじゃない
けど、私に対して一途に話をしに来てくれた
……それだけで、いい
…1ヶ月間ありがとう、この世界それに
………まだ何者でもない真緒くん』
そのまま身を投げた彼女の名を
俺は無意識に叫んだ
「っ、結羅!!!!!」
追いかけるように俺は飛び降りる
するとまた視界は歪んでって……
「!!!!…こ、こは…………
俺の、部屋?」
朝日が照る自室で意識が戻る
携帯の月日は12月を示している
そしてこの時間に目が覚め、
机の上の生徒会資料を見てから
自分の現状を思い出した
「…こうしちゃいられない
…あいつの所に行かねえと!」
記憶があっていれば
俺はこの仕事をするため早く家を出る
自分の身丈を確認すると、どうやら
高校2年の俺になっているようだし
あくまで冷静に、でも確実に
結羅が居なくならないように
俺は過去をやり直さなくてはいけない
そう感じたらすぐに体は動いた
懐かしい制服に袖を通し、荷物を持って
家を出る。俺が過去にどれだけの間
戻れるかは分からない。
スバルの言うことが本当なら1ヶ月間
けどもしさっきまでの1年前との時間も
踏まえるなら、どれくらい既に
経っているのかが明確に読めない
次の満月が目印だろうか。
なら俺ができるのは後悔しないことだ
「っし、行くか」
家を出てしばらくすれば結羅の家
その彼女の家の前から1つの人影をみて
俺は声を上げた
「おはよう、結羅!」
『あっ、おはよう真緒くん』
微笑む姿に、すでに恋心を自覚している
未来の俺は体温が上がる
それを知らない彼女は、いつもと
変わらないあの笑顔で問いかけた
『早いね?』
「せっ、生徒会の仕事があるからな〜
結羅も朝早いな、仕事か?」
反射でそう答えたけど
本当はお前と会いたくてなんて言えない
…久々に感じる結羅の使っていた
少し甘い柔軟剤の匂いがして、涙腺が緩んだ
『ううん、なんだか早く目が覚めて
……………ながい、夢を見たんだけどね』
夢じゃないよ、それが夢なら
今俺が見ているこれも夢なんだから
「…そっか〜どんな夢なんだ?」
『……過去の皆と、お話する夢』
そう言うと諦めたように、悲しげに
彼女は視線をそらした
『過去を』
「ん?」
『…なんでもない!行こ、お仕事
あるんでしょ?手伝うよ!』
「……………紗里、先輩…」
お前はその名前を、スバルが俺につけた
渾名から取ったんだよな?
『真緒くん!ほら早く!
あんずちゃんに格好いいとこ見せなきゃ!』
「っ!!」
紗里先輩として、俺に関わったのは
自分が転校してきたときに気付かせない為
好きなタイプを言わせてくれなかったのは
―『ん〜じゃあ…仕事に一生懸命で
髪はミディアムヘアの茶髪かな』
―「へ?」
―『真緒くんが好きになる人!
私の予想は当たるよ〜』
―「仕事に一生懸命で、髪はミディアム…
茶髪、ですか?」
少し苦しそうな顔をしてたのは
―『うん!』
―「俺は黒髪の方が……」
言わせてくれなかったのは
―『あ!もうこんな時間!予鈴なるから
戻った方がいいよ!』
―「ちょっ、紗里先輩…!」
無理矢理保健室から俺を追い出して
―『……………何しに、ここに来たんだろ』
その言葉を聞いて、あまり好かれていないと思って保健室に行くことを止めた
けどそう呟いたのは…本心は
俺があんずに恋をすることを知ってて
自分の気持ちを殺して後押しをしたんだ
彼女は後悔しないためにやり直そうとした
過去に戻って、俺とまた出会って。
なのに、結羅は優しいから
過去を変えなかった。変えれなかった
「…ごめん、俺はそんな優しくない」
『真緒くん?』
「っ………行こうぜ」
『?うん』
同じ思いをしたくない
同じ思いをさせたくない
大人になって、お前の大切さを
居なくなってから気が付いたんだ
馬鹿だし駄目なやつだろ?
分かってるんだ、都合のいいことくらい
だからどれだけ都合が良くても
自分の後悔しない道を作る
結羅が作りたくても作らなかった
我慢させた道に
俺は、絶対導いてみせる