切甘
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あいつは何故か嫌われている。
おれは途中から戻ってきたから
なんでかはわかんないけど
みんな、あいつのことを嫌ってる
けどみんな、もう1人のプロデューサーは
大好きだ。
セナも、リッツも…
クロだってケイトだってあの皇帝だって
みんなみんな
あんずのことが大好きだ。
けどなんでだ?
ナルも、スオ〜も…
ナズだってシュウだってミカだって
みんなみんな
結羅のことが大嫌いだ
前セナに聞いたら
「あんな奴早く消えたらいいのにねぇ
いつまでいるんだか」
っとだけ言われたし、リッツに聞いても
「さぁねぇ〜?
あんなことしたら、みんなから
嫌われるのも仕方ないと思うけど」
と、内容は教えてくれない
けどある日、ナルが教えてくれた
「あの子はね、可愛い可愛い
あんずちゃんに嫉妬して、彼女を
カッターと鋭いハサミで脅したの!
しかもカッターであんずちゃんの
腕を切りつけて、ハサミであんずちゃんの綺麗な髪さえも切り刻んだの!」
おれはまだ、あんずも結羅も
よく知らない
だからどちらの味方などと言わず
それを傍観者としてみている
あんずは怯え、それをみた周りが
あんずを庇う。
結羅はいつも独りだった
誰とも目を合わせようとしない。
ましてや表情さえ見えない。
どんな目の色をしているのか
それは誰も知らなかった
長い前髪が彼女の表情を隠す
長い髪が彼女の心と本音を隠す
たいして踏み込まなかったが
彼女が何を考え何を見ているか
ということに少し興味を引き
おれは結羅のことを
知りたいと思った。
その頃には
結羅はとっくに壊れていたというのに
気付いたら独りだった
転校してきて、みんなと仲良くなろうと
したけど、転校してきた次の日に
あの子に嵌められた。
…あんずさんは私に言った
女王の、女の椅子は1つでいい と。
私は邪魔だったらしい。
なら 僕 を叱って欲しかった
私だけで大丈夫だよって
ちゃんと転校初日に言って欲しかった。
そしたら僕は、プロデューサーなんて
せずにまた消えたはずだ。
僕 はそんなこと知らなかった
同じ学年でも、あんずさんは僕より先に
学校へやって来てるんだ。
彼女が言うのなら仕方の無い。
僕は反論して面倒になるのは嫌だ
面倒になるなら流されておこう
僕は、学校という場所で
女という性別を消した。
元々長い前髪を切らずに伸ばし
女っぽい顔を隠すのに使う
スカートだって履かない
僕はズボンを履く。
一人称さえも、男の子っぽくした。
ただ…長い髪を切るのが嫌で
髪の毛だけはショートのウイッグを被り
切ったことを装っていた。
そしたら不思議
僕には何も言ってこなくなった
陰で言ってることは分かってるし
ちらちら皆がこっちを見てることも分かる
それを無視して、僕は独りでいた
あと一年半、どうやって過ごそうか
なんて考えていたら
―ガラガラガラっ
「うっちゅ〜☆転校生いる??」
…教室に変な人が来た
関わらない方がいい。というかまず
関わってこないはずだけどな
「あら王さま!?
あんずちゃんなら隣のクラスよ??」
鳴上くんがそう答えている。
その後、 王さま と呼ばれた人は
ズカズカと足音を立てて歩き始めた
気のせいか、こっちに向かっている
「あんずじゃないぞ、おれが
探していたのはお前。結羅だ」
『…えっ』
僕に用があるんですか
なんでなんですか
僕はこの先、何が起きるかなんて
「さぁ!行くぞ〜☆」
『!?!?』
まだ何も知らない
「お前のこと知りたい!」
『…僕、を??』
ガーデンテラスに連れてきて
おれは彼女に向き直り笑顔でこういった
「そ!名前から全部!!ほら!」
『そういう貴方は??』
「あぁ…!!おれは月永レオ!!
Knightsの王さま!Knightsの曲も
おれが作ってる!はい!次お前!」
少し眉間に皺を寄せながらも
口を開いた
『真瀬結羅です
2年Bクラス。プロデューサーで
来ましたが何もしてないですね
あんずさんがされてるので
以上です』
…えっ?少なっ!?
「趣味は!?」
『いいません』
「好きなものは!?」
『いいません』
「好きな科目は!?」
『ありません』
この質問を繰り返していると
「好きな食べ物は!?」
『甘いも…なんでもありません』
甘いものか!?!?
甘いものが好きなのか!!
「じゃあじゃあ…」
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
気付けば当たりは紅かった
あ、もう夕方なのか
「これからももっと結羅のこと
知りたい!おれに教えて!!」
『どうしてですか』
「お前と仲良くなりたいから!」
そう言ったら、結羅は目を見開いた
『そう、ですか』
「うん!で、家どこ!送る!」
なんて話して、帰り道もいっぱい
質問して…。話してて思ったのは
こいつは人を傷つけるような
人間ではないということ。
あんずの自己演出か
他に犯人がいるか
ほんとにこいつがしたのか
それはまだおれには分からないけど
分かることといえば
「じゃあな!!」
『はい。お気をつけて』
こいつは、結羅は
実は優しいということ
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
それから数週間
俺は毎日のように結羅のところに
行った。気のせいかわからないけど
おれが来るたび、結羅が
笑ってる気がしたんだ。
気付いたら行くことが
当たり前になっていた。
聞きに行くのが、話しかけに行くのが
日常になってきていた
だからこそ…
『おはようございます月永先輩』
言葉の中から伝わる表情、感情が
分かるようになっていた
けどさ…おれはやっぱり
裸の王さまらしい。
…手放しちゃったんだよ
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
『月永先輩?』
「あぁごめん!ぽーっとしてた!」
これも当たり前になった日常
おれの、ささやかな幸せな時間
最初と違うのは
『あっ…じゃあ 私 はこれで』
「あぁ!気をつけてな!」
おれに、少しずつ心を開いてくれてること
このまま頑張って、あいつの笑顔や
瞳を見てみたいなって…
そう、思ってたのに
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
―騒がしい2-B教室
そこにおれは走り込んだ
「…おい!」
「王さま!!」
「…月永先輩……」
いるのはもちろんそこのクラスの奴ら
あと…。
『っ…っ………』
ナイフを手に持つ、結羅
「結羅…」
『ちが…ちがいます…。 わたし じゃない
あんずさんが…これ持ってきたから…
せ、正当防衛で…』
「…けよ」
レイのところの奴が声を張り上げた
「出てけよ!クラスから!
学校から!!」
「これ以上、あんずちゃんを
傷つけないでちょうだい!」
「…っみんな」
リッツが控えめな声を上げたが
いつの間にか駆けつけた他クラスも
含め、結羅への罵声が
始まりそれは消される
「出ていってよ。
俺達は本気でアイドル目指してる!」
「あんずは一生懸命頑張ってくれている。
だが、男といたいだけでここに居るなら、あんずの努力を見ずにただ居るだけなら、早くこの学院を出ていってくれ」
ああ…そんなこと、言うなよ
結羅が…
「おいお前ら…」
「呪いの呪文を唱えてあげたイ
くらいだけド…今回ハ許すヨ。
君ガ…この学院から去るならネ」
壊れ―
『…っ……な…で……さ…い…』
「聞こえないんだけどぉ?」
『来ないで下さい
こっちに、そこから先に… 僕 の所に
僕の所に来るな!!』
「それはこちら側の台詞ですよ
あなたが言うべきことではありません」
「とりあえずそのナイフ、
あんずちゃんにまた向けられるの嫌だから
それだけ返してくれない??」
『っ…分かりました』
結羅はナイフを近くに居た
ミカに渡した
「…あんずちゃん傷つけたんや
お前も傷つかな意味無いやろ?」
ミカは結羅の前髪を掴みあげた
―ふわっ
「「!!」」
黒髪が 落ちる 。
腰辺りまでの長い黒髪が
結羅の動きに合わせて
揺れていた
今までのは…ウイッグで…
これが…本当の結羅の髪…??
「綺麗…」
思わず呟いた時
―ばさっ
ミカはそれでも容赦なく
結羅の前髪を切り裂いた
切られた瞬間、
結羅はすぐに顔を隠す
「んだよ顔隠して。今更怖気ついたのかよ」
「それとも、まわりがアイドルで
自分の顔が見せれないのかぁ??」
ナズがそう言うと、そのまま端をすり抜け
外へ走っていった
「ぁ…っ…」
「結羅!!」
おれは走ってあとを追った
-◯◯side
言えなかった。
守れなかった。
けど、今からでも遅くない
言わなきゃ…
「ねぇねぇ。俺見ちゃったんだよね」
「あら、凛月ちゃん??
何を見たのかしら??」
なにって…そんなの。とんでもない事実だよ
「あんずが…結羅に
ナイフ向けて、本当に正当防衛で
ああなった所」
.*・゚ .゚・*.
「?あんず……!?!?」
俺も初めは襲われてるのかとか
思ってた。けど陰から見ていると
どうも様子が違ってさ。
「ねぇ、どうして月永先輩と
仲良くしてるの??言ったよね??
女は私だけでいいって。
ここにいるだけで邪魔なのよ」
『…貴方の迷惑にならないよう
過ごしていたつもりですが』
「ほんとそういう所!!
大嫌い!!早く消えてよ!!
見るだけで嫌になる」
『…そう言われましても……』
「ヘラヘラしててほんと気分悪い
…前はカッターだけで信じてもらった
じゃん??今度はこっちにしようよ」
そう言って、あんずが出したのはナイフ
「!!」
もしかして今までのは全部…
『!!危ないよ!!そんな事したら…』
「うるさい!私が1番なの
みんなの1番なの!!だから、1番で
居続ける為ならこの程度…」
『だめっ!!あんずちゃん!!』
そう言って、ナイフを自分へ向けてきているのに、あんずの方へ近づいた結羅
「!!」
『貴方は傷つかなくていい…!!』
そう言ってナイフをもろともせず
結羅はあんずの腕を押さえようとした
「……馬鹿な人」
そう言うと、あんずはナイフを
振り上げた。
『っ!!』
辛うじて結羅はそれを避けるが、
そのあとも、あんずからの攻撃は続く
俺が止めにかかろうとした時
『っ!!』
結羅が、あんずから
ナイフを取り上げた。
一安心もつかの間
「あんず!!」
他のみんながやってきた
何も知らない人からすれば
あんずが襲われてる
としかならなかった
.*・゚ .゚・*.
だから本当は…
「悪いのは結羅じゃない
あんずと…あの子を信じなかった、
-俺達、だよ」
ー凛月side end
―終わりが来たんだ
1人空を見上げそう思った
『なんのために生まれたの』
いいだろ、もう。
私頑張ったじゃないか。
ゆっくり、でもしっかりと
フェンスに手を掛けた
「待って」
『!!!』
後ろから優しく抱きしめられる
微かに見えたオレンジ色の髪
これは…
『月永先輩…』
「居なくならないで」
『……もう何も…私には無い…』
聴こえないよ なにも
「おれが居るから!!」
『邪魔しないで…』
お願いだから
せめてこれだけは
戻れない。 もう逃げられないよ
限界なんだ
月永先輩を振り払おうとした時
強い風が吹いて髪が靡く
「!!!…結羅…」
『…っ…』
初めて、しっかりと…
髪で隠れず、目が合った
「…そんな顔、してたんだな
…すごく、綺麗だ…」
『!!!!!!』
そう言われるともう一度引き寄せられ
私のマイナスな言葉しか発しない唇を
音楽を紡ぐ月永先輩の唇が塞いだ
『…!…』
離れたいのに
-まだ、離れないで欲しい
まだ、安心していたい。
なんて考えていると今度は
月永先輩の舌が絡まり始めた
この人の事をもっと知りたい
そばにいたい。
あぁ、逃げてた感情があった
月永先輩のことを-
唇をゆっくり離した月永先輩は
私を見て言った
「…気付いたよ…おれ、
結羅のことが好きだ」
『…月永先輩……』
「だから、泣かないで」
えっ?
『あれ、私、いつの間に……』
おかしいな
おかしいよ
だって私………
『月永先輩、教えてください…
おかしいんです…
私、私こんな感情知らない…っ』
月永先輩の事を考えると
胸がきゅぅってなる
あんな子に月永先輩が取られるって
思ったら怖くて怖くてたまらない
離れないで欲しい
そばにいて欲しい
笑っていて欲しい
「…結羅……それって…」
『幸せが怖い…月永先輩、
私どうしたらいいんですか…っ?』
泣きながら聞くと、月永先輩は
笑顔で答えた
「…ずっと、おれのそばにいて?
結羅の不安が消えても
その先もずっと…」
答えはこんなにも簡単なんだ
と月永先輩は言って、
私に微笑んだ
『っ…月永先輩…私も……』
そこまで言った時だった
「結羅!!!」
『「!!!」』
屋上に、アイドルのみんなが
やってきた
「「「ごめんなさい!!」」」
みんなからの謝罪
理由は、朔間凛月くんらしい
彼が全て見ていたとのこと
「許してくれなんて言わないわ
でも、これからもプロデュースを
お願いしたいの…!」
「お姉様と、きちんと向き合って
lessonをお願いしたいのです!」
「お願い、結羅…!」
「…どうするんだ?おれのお姫様
何かあっても、おれがお前を守る
それは約束するぞ」
『…はい、月永先輩がいるなら
怖くありません…
時間はかかるかもしれませんが
皆さん、
こちらこそよろしくお願いします』
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
それから、あんずは暫く停学処分
プロデュースを結羅1人で
行うことになった
今日はKnightsのプロデュース
おれはスキップをしながら
レッスンルームへ向かう
「うっちゅ〜☆」
『月永先輩、早いですね』
まだ部屋には彼女1人
おれ今日優秀じゃん!さすが王様!
…ところでさ
「結羅?
告白の返事、聞いてないんだけど」
『っ!!!』
そう言って彼女に詰め寄る
『私も…月永先輩…のことが
…好きで、す』
「…うん…
おれと、付き合ってくれませんか?」
『…よろしく、お願いしますっ…』
俺は微笑んで
彼女の手を優しく握った
あぁ、
甘いインスピレーションが沢山。
今日もおれにお姫様は
音楽を注いでくれてる
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